2016年10月2日日曜日

Hamilton - Say No To This

バー:
夏のニューヨークときたら
追い詰められてる誰かさんが 美しい人と出会う
波乱の予感だ わかるだろう
アレクサンダーが一人でいるようだ
彼から語ってもらうとしよう

ハミルトン:
もう何週間もろくに眠れていない
弱りきって 目ばかり冴えてた
僕がこんなに参ってるところを
誰も見たことがないだろう
アンジェリカがいてくれたらと
妻に会いたいと願ってた そんな時だったんだ
マリア・レイノルズという女性が僕の前に現れたのは
彼女は言った

マリア:
あなたは信義を重んじる方であると聞いています
突然お宅に押しかけてしまってすみません
でも私 どうしていいのかわからなくて
一人でこちらに伺いました

ハミルトン:
彼女は僕に告げた

マリア:
私の夫は酷い人なんです
私に暴力をふるったり 浮気をして 酷いことばかり
今度はいきなり家を出て行ってしまって
私にはもう生活する術もありません

ハミルトン:
だから僕は彼女に金を貸すと申し出た
家まで送ると言うと 彼女は

マリア:
とてもお優しい方 感謝致しますわ

ハミルトン:
家に置いていた30ドルを彼女に渡した
彼女の住まいは近くだった 彼女は言った

マリア:
ここが私の家ですの

ハミルトン:
僕は言ったんだ 「では私はこれで」
彼女は顔を赤らめて 僕を寝室まで連れて行き
脚を開いて言った

マリア:
一緒にいてくださらない?

ハミルトン:
えっと…

マリア:
ねえ…

ハミルトン:
その時 僕は祈りはじめた
主よ どうか教えてください ここで断る術を
僕にはわからないんだ どうしたらノーと言えるのか

だって彼女は とてもつらく心細そうにしてるし
彼女の体は 「イエス」って叫んでる

ダメだ なんとかして 断らなくちゃ
僕にはわからない どうしたらノーと言えるのか
頭の中では立ち去ろうとしてるのに
でも彼女の唇が僕のに重なったとき 僕にはもう言えなかった

No! No!
断らなくちゃ!
No! No!
ノーって言うんだ!
No! No!
断らなくちゃ!
No! No!
ノーって言うんだ!

ハミルトン:
彼女とはそれが最後だったと言えたらいいんだが
そんなことを言いながら 彼女との逢瀬は良い気晴らしになったんだ
そしてひと月も経った頃 僕に手紙が届いた
ミスター・ジェームズ・レイノルズからだ
さらに困ったことに 手紙の内容は

ジェームズ:
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
そりゃもう 私のようなうだつの上がらない男にも
援助を頂けるくらいには ご清栄であることを願ってます
というのも あれは私の妻でしてね あなたが

ハミルトン:
やっちまった──

ジェームズ:
残念! あんたは寝取る相手を間違えたようだな
楽しんだ分だけ 代価は払ってもらう
べつに 好きなだけうちの淫売と会ってもいいんだぜ
見合った代償さえ支払ってもらえるなら
でなけりゃあんたの奥さんに伝えるまでだ

ハミルトン:
僕は手紙を隠すと 急いで彼女のもとへ向かい
「なんてことをしてくれたんだ!?」って叫んだ
彼女は言った

マリア:
そんなことしてませんわ!

ハミルトン:
服も脱ぎかけで彼女は申し訳なさそうに
取り乱して バカみたいに泣いた

マリア:
行かないでください お願い!

ハミルトン:
最初から僕を騙すつもりだったのか?

マリア:
手紙なんて知りません!

ハミルトン:
泣いてないで しっかりしろ!

マリア:
こんなことになるなんて思わなかったんです

ハミルトン:
もう終わりだ…

マリア:
お願い 私をあの人のもとに置いて行かないで

ハミルトン:
どうしようもない
どうして僕はこんなことを

マリア:
あの人の望むものを差し出せば
私といられるのでしょう
好きなだけ

ハミルトン:
僕は君なんか欲しくない
僕はべつに
僕は…

マリア:
お金を払えば
私といられるのよ

ハミルトン:
主よ どうか教えてください ここで断る術を
僕にはわからないんだ どうしたらノーと言えるのか

だって もうどうしようもない状況だ
そして彼女の体は 「イエス」って叫んでる

ダメだ なんとかして 断らなくちゃ
僕にはわからない どうしたらノーと言えるのか
助けを求めて行ける場所なんてない
でも彼女の身体が僕のに重なったとき 僕にはもう言えなかった

(No! 断らなくちゃ!)

ハミルトン:
Yes

(No! ノーって言うんだ!)

マリア:
Yes!

(No! 断らなくちゃ!)

ハミルトン:
ああ…

(No! ノーって言うんだ!)

マリア:
いいわ!


ハミルトン:
ノーって言わなくちゃ…
でも僕はそれができなかった

マリア:
そんなこと言わないで

ハミルトン:
助けを求めて行ける場所なんてない


ジェームズ:
それで?

ハミルトン:
誰にも口外は無用だ

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