1800年 大統領選挙
ジェファーソン:
政治に話を戻してもいいか?
マディソン:
グスッ どうぞ?
ジェファーソン:
どうも
すべての作用には同じだけの反作用が生じる
ジョン・アダムズはヘマしまくった
俺はあいつのこと好きだけど もはや満身創痍だな
哀れなアレクサンダー・ハミルトン? あれもすっかり大人しくなっちまって
結果、俺の対立候補は──
ジェファーソン、マディソン:
アーロン・バー!
ジェファーソン:
あいつも自身の党派で出馬
マディソン:
北部じゃ彼はとても人気がある
ニューヨークの人々は彼に期待しているようだ
ジェファーソン:
あいつはどんな意見もそうそう強く主張してこない
マディソン:
彼に質問を投げてみても 話を逸らされ
うやむやに誤魔化されるな
ジェファーソン:
みんな俺のことを親仏家だとかバカにしやがるが
少なくとも 俺がフランスの場所を知ってるってことは
誰の目にも明らかだろ
マディソン:
トーマス、それこそが問題なんだよ
みんなバーの事を
君をおとなしくしたぐらいの人間だと思ってる
ジェファーソン:
冗談だろ
マディソン:
君はすこしやり方を変える必要がある
誰か支援者を得ることで
印象を良くできるかもしれない
ジェファーソン:
誰を考えてるんだ?
マディソン:
笑うなよ
ジェファーソン:
誰だよ?
マディソン:
ともに働いたこともある人間だ
ジェファーソン:
おいまさか
マディソン:
なあひょっとすると うまくいくかもしれないぞ
ハミルトンを味方につけられたら
ジェファーソン、マディソン:
ひょっとすると いい考えかもしれないぞ
ハミルトンを味方につけられたら
バー:
口数を減らして!
もっと微笑む!
自分の支持や反対するものを
周囲には悟らせるな!
そこの彼と握手して!
そこの彼女を魅了する!
時は1800年
淑女の皆様 バーに一票をと
旦那様にお伝えください!
アダムズは好きじゃない
あの人は勝てっこないでしょ 敗北主義者だもの
かといってジェファーソンは──
フランスが大好き!
ほんと、エリート主義者ってかんじ!
アーロン・バーはいいな
彼ってばすごい素敵だわ!
なんか親しみやすさがあるっていうか…?
一緒に一杯飲めそうな感じがするよね!
アンサンブル:
親愛なるハミルトンどの
我々 連邦主義者の同胞としては
あなたが誰に投票するのか知りたいのです
ハミルトン:
郊外はとても静かだ
アンサンブル:
親愛なるハミルトンどの
ジョン・アダムズは望み薄なわけですが
あなたは誰を支持されるんですか?
ハミルトン:
郊外はとても静かだ
ジェファーソンかバーか?
どっちでも負けなのは分かってますが
ジェファーソンかバーか?
どちらか一人を選ぶとしたら
親愛なるハミルトンどの
ジョン・アダムズは望み薄なわけですが
あなたは誰を支持されるんですか?
どちらか一人を選ぶとしたら
ハミルトン:
おや これはアーロン・バーどの!
バー:
アレクサンダー!
ハミルトン:
ずいぶんと話題になってるご様子で!
バー:
ああ 一軒一軒訪ねて回ってるんだ!
ハミルトン:
大々的に選挙運動を?
バー:
そうとも!
ハミルトン:
新しい試みだな
バー:
正直とても疲れるがね
ハミルトン:
バー
バー:
なんだい!
ハミルトン:
本気で挑んでいるんだな?
バー:
そうさ 目指すもののために手段は選ばない
思えば、そうだな
ハミルトン:
なんだい?
バー:
そういうやり方を 私は君から教わったんだよ
アンサンブル:
どちらか一人を選ぶとしたら
マディソン:
引き分けだ!
アンサンブル:
どちらか一人を選ぶとしたら
アンサンブル:
あとは下院に委ねられた!
アンサンブル:
どちらか一人を選ぶとしたら
ジェファーソン、マディソン:
あとはハミルトン次第だ!
どちらか一人を選ぶとしたら
ジェファーソンかバーか?
選択を!
ハミルトン:
さて
人々は僕の意見を聞きたがってる
この国は難しい選択を迫られているわけだが
私が誰を支持するかというのなら
──ジェファーソンだと言っておこう
私はジェファーソンとは一度として意見が揃ったためしがない
何から何まで反目し合う間柄だった
だが結局のところはっきりしているのは
ジェファーソンには信念がある
バーにはそんなものはない
マディソン、ジェファーソン:
これは驚いた 信じられない
マディソン:
ハミルトンが君に味方したぞ
アンサンブル:
まさか驚いた 信じられない
ジェファーソン:
で?
マディソン:
君の圧勝だ
バー:
当選おめでとう
なかなかいい勝負だったんじゃないかね
ジェファーソン:
そうさな
バー:
これから君と協力して公務につけることを
楽しみにしているよ
ジェファーソン:
はあ 協力?
バー:
君の副大統領としてさ
ジェファーソン:
はっ よくいうぜ
聞いたかおい? 俺に真っ向から対抗して活動してたやつが
「協力して公務につけることを楽しみにしてる」だとよ
マディソン:
まあ確かに 次点の者が副大統領にというのもおかしな話だな
ジェファーソン:
ああ、だったらその制度 変えられるぞ
何でかわかるか?
マディソン:
なぜだ?
ジェファーソン:
俺が大統領だからだ
ああそうだ、バー
ハミルトンに会ったら 支援への礼を伝えといてくれ
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