2016年10月2日日曜日

Hamilton - Who Lives, Who Dies, Who Tells Your Story

ワシントン:
私がまだ若く 栄光を夢見ていたあの頃に
分かっていたならと思うことがある
誰にも選ぶことは出来ないのだ

誰が生きのび 死にゆき
誰が後世へと語り継いでいくのかを

バー:
ジェファーソン大統領

ジェファーソン:
認めよう 奴の作り上げた金融システムは完璧だった
無に帰そうとしたところで 無理な話だ
頑張ってはみたんだがね

誰が生きのび 死にゆき
誰が後世へと語り継いでいくのか

バー:
マディソン大統領

マディソン:
彼はこの国を破産から救い 繁栄へと導いた
認めるのは癪だが あの男の功績の偉大さは
もっと世に知られるべきだろう

誰が生きのび 死にゆき
誰が後世へと語り継いでいくのか

アンジェリカ:
彼を除く アメリカ合衆国建国の父たちの話は広く語り継がれている
彼を除く アメリカ合衆国建国の父たちは 長い人生をまっとうしている

バー:
だが自分が死んでしまったら 誰がその名を覚えていてくれるんだ?
誰がその火をともし続ける?
誰が後世へと語り継いでいくのか?


誰が後世へと語り継いでいくのか?


イライザ…


イライザ:
私は物語の一部へと 戻ることにしたわ

イライザ…

イライザ:
泣くことに時間を費やすのは止めにする
あと50年は生きるの
それでも足りないわ

イライザ…

イライザ:
あなたと共に戦った 全ての兵士達の話を聞きに行った

マリガン、ラファイエット、ローレンス:
彼女は俺たちの話を語り継いでいく

イライザ:
あなたの残した 何千枚にもわたる書類を
なんとか理解しようとしたわ
あなたって本当に 時間に追われているみたいに書き続けたのね

時間に…

イライザ:
私のことを アンジェリカが支えてくれた
彼女が共にいるあいだは
二人であなたの話を語ったわ
彼女は今 トリニティ教会であなたの近くに眠ってる
私に彼女が必要だったとき
いつもそばにいてくれたわ
それでもまだ終わりじゃない
私は考える
「あなたにもっと時間があったらどうしただろう」って
そんなとき主は 寛大な心で
あなたがいつも求めていたものを
私に与えてくれる、さらなる──

時間を…

イライザ:
D.C.でワシントン記念塔建造のための基金を集めたわ

ワシントン:
彼女は私の話を語り継いでいく

イライザ:
私は奴隷制度に批判の声をあげた
あなたには もっと多くのことが出来たはずだった
もっと時間さえあれば

時間が…

イライザ:
そして私にその時が来たとき
私は充分なだけ やったのかしら?
人々は私たちの話を語り継いでくれるの?

ああ、もうひとつ
私がいちばん自慢したいことがあるの


孤児院…

イライザ:
私ね ニューヨークで初の私立孤児院をたちあげたの

孤児院を…

イライザ:
何百人もの子供たちを育てる支援をして
あの子たちの成長を見届けることができる

孤児院で…

イライザ:
彼らの瞳の中に 私、あなたが見えるの
いつだってそう
そして私にその時が来たとき
私は充分なだけ やったのかしら?
人々は私の話を語り継いでくれるの?

ねえ あなたにまた会えるのが楽しみで仕方ないの
きっともう──

すぐ…

人々はあなたの話を語り継いでいくだろうか?

誰が生きのび 死にゆき
誰が後世へと語り継いでいくのか

人々はあなたの話を語り継いでいくだろうか?

誰が生きのび 死にゆき
誰が後世へと語り継いでいくのか

Hamilton - The World Was Wide Enough

1 2 3 4 5 6 7 8 9…

バー:
知っておいて欲しいことが10ある

その1!

バー:
私たちは明け方にハドソン川を渡った
友人のウィリアム・P・ヴァン・ネスが私の介添人だった

その2!

バー:
ハミルトンも奴の仲間と現れた
ナサニエル・ペンドルトンと 知り合いの医者がひとり

その3!

バー:
私はハミルトンが周囲の景色を見渡すのを眺めた
あいつが一体なにを考えているのか 分かればいいのだが
この男は私の政界でのキャリアを台無しにしたんだ!

この時点で和解に至り
誰も撃たずに済むことが多い

その4!

バー:
ハミルトンが先行として 立ち位置を選ぶ権利を得た
彼はこの世界に 何かの使命を持った人間のように映った
あの男の射撃の腕は一流だ
決闘への関与を否定できるよう 医者が後ろを向く

5!

バー:
当時は知らなかったが
私たちのいた場所は ハミルトンの息子が死んだ場所の近くだった
だからなのか──

6!

バー:
奴は自分の銃を厳しく確認していた
私はあいつが引き金をもてあそぶのを見ていた

7!

バー:
告白しておこうか?
ともに戦った兵士達ならよく知っている 私の射撃の腕はひどいものだ

その8!

バー、ハミルトン:
交渉の最後のチャンスだ
介添人同士で 誤解をとけるか話し合う

バー:
学校では教わらないだろうが
調べれば分かる ハミルトンはこのとき眼鏡をかけていた
何のために? 正確に私を撃ち殺すためというほかに理由があるのか?
やるかやられるかだ もう引き返すことなどできない
血が流れる直前 私の頭を占めていたのはたったひとつだった
私は娘を残して死ぬわけにはいかない!

その9!

バー:
相手の目を見て まっすぐ銃を構えろ
持てる勇気を振り絞って
カウントだ

1 2 3 4 5 6 7 8 9

10歩かぞえて 撃て!


ハミルトン:
これまで幾度となく死の瞬間を想像してきた 今では記憶のようにすら思える
今こそがその訪れなのか?
地面を踏みしめ立つ僕の もうすぐそこに迫っている?
その訪れが見える 僕は逃げ出すのか 引き金をひくのか 身を任せるのか?
旋律もビートも聴こえはしない
バー、僕の最初の友人であり そして敵
彼がこの世で見る最後の人間になるのかもしれない
この一発をふいにしたら 君はその記憶とともに僕を思い出すのか?
この弾丸が 僕が後世に残す遺産だとしたら?

遺産…遺産とはいったい何なんだ?
完成をこの目で見届けられない庭園に 種を蒔くようなものだ
いずれ誰かが僕のために歌う曲の 最初の何音かを僕は譜面に書いただけだ
アメリカ、僕に与えられた 壮大なる未完の交響曲よ
僕に変革の機会を与えてくれた
移民の孤児でも 足跡を残し のし上がれる場所
僕の時間は尽きようとしている
僕は走り続けて、時間を使い果たした
ふと気づき 視線を向ける
僕は向こう側を垣間見る
向こうではローレンスが兵士の合唱を率いている
僕の息子があちら側にいる
先に逝った僕の母とともに
ワシントンが向こう側から僕を見ている

僕にお別れの言い方を 教えてくれ

上って行くんだ 上へ 上へ

イライザ…

愛しい人よ 君はゆっくり来てくれ
向こう側で会おう
自由に乾杯を…


彼は拳銃を空へ向ける──

バー:
待て!


バー:
私の弾丸は彼の肋骨の間を撃った
彼のもとへ向かおうとするが、引き離される
ハミルトンは船に乗せられ ハドソン川を引き返していった
私は酒を飲みに行く

外では慟哭が聞こえる
誰かが私に告げる 「あなたは身を隠したほうがいい」
アンジェリカとイライザは 二人とも
彼が息を引き取るとき そばにいたと聞いた

死は差別をしない
罪人であろうと聖人であろうと
ただ 一方的に奪い続ける
歴史は痕跡を消しさっていく
描かれる絵画ひとつひとつに
私と私の犯した過ちを描き出す
アレクサンダーが銃口を空に向けたとき
命を落としたのは彼だったが
代償を支払ったのは私だった

私は生き残り、その報いを受けたんだ

私は今や歴史上で悪人として語られる
あまりにも幼く 盲目だったんだ…
気付くべきだった
気付かなければならなかったんだ
ハミルトンと私が生きるのに充分なほど 世界が広いということに
私たちがともに生きるのに充分なほど 世界は広かったんだ

Hamilton - Best of Wives and Best of Women

イライザ:
アレクサンダー もう少し眠ったら

ハミルトン:
郊外で早くからミーティングがあるんだ

イライザ:
まだ外は真っ暗よ

ハミルトン:
うん ちょっと書いておきたいものがあって

イライザ:
どうしていつも 時間に追われるみたいに何か書いてるの?
ベッドに戻りましょうよ それで充分よ

ハミルトン:
君が目覚める頃には 帰ってるよ

イライザ:
もう少し休んだらいいのに

ハミルトン:
夜明けの約束なんだ

イライザ:
そう 私は戻るわよ

ハミルトン:
ねえ
君は最高の妻で、最高の女性だよ

Hamilton - Your Obedient Servant

バー:
ハミルトン、あの傲慢な移民の孤児、
私生児、淫女の息子が
トーマス・ジェファーソンを支援したというのか、
奴が出会い頭から疎んでいたはずの仇敵を
ただ私の勝利を阻むためだけに?
私はたどり着きたかった
全てが決められる その肝心の部屋に
だがお前は私を阻んだ
その肝心の部屋から
もはや我慢ならない

拝啓 アレクサンダー

私は温厚な人間だが
今回ばかりは言わせてもらおう、
君が私の人生に及ぼす影響を考えて
私のこれまでの失敗を振り返ってみたが
そのいずれにおいても
共通したのは君の失礼な言動だ
君は私を「道徳に欠く」 
「危険で恥ずべき男」などと呼んだらしいな
言いたいことがあるなら
時間と場所を決めたまえ
面と向かって聞いてやる

敬具
あなたの忠実なるしもべ
A. バー

ハミルトン:
副大統領どの

君が人に信用されないのは僕のせいではない
君の考えること 信じるものが誰にも分からない
僕は自分の意見をあいまいに誤魔化したりはしないし
いつだってはっきりと主張してきた
仮に 君のいうそれらの発言を僕がしたにしても
もっと詳細に不満の根拠を示して頂かなくては困る
ここに過去30年間の我々の不和の項目を記しておこう

バー:
冗談だろ

ハミルトン:
言っておくが 僕はいつだって逃げも隠れもしない
人々の視線をおそれずに
ただこの国のために最善を尽くしてきた
争いは僕の望むところではないが
自分が正しいと信じてとった行動を謝罪する気はない

敬具
あなたの忠実なるしもべ
A. ハミルトン

バー:
よく考えて行動したまえよ
なるほど君の言動には自制がきかないようだな
謝罪をしないのならば
怪我をする覚悟はできているのだろうな

ハミルトン:
バー、君の怒りはもっともだが
僕は自分の言葉に責任をもつし 主張をまげるつもりはない
君は私欲や保身のためにしか動かないじゃないか
結局 君はそういう男なんだ
事実を述べただけなのに謝罪なんてできないよ

バー:
ならば勝負を受けろ、アレクサンダー
夜明けに ウィーホーケンだ
銃を持ってこい

ハミルトン:
受けて立とう

バー、ハミルトン:
敬具
あなたの忠実なるしもべ

ハミルトン:
A. ハミルトン

バー:
A. バー

Hamilton - The Election of 1800

1800年 大統領選挙

ジェファーソン:
政治に話を戻してもいいか?

マディソン:
グスッ どうぞ?

ジェファーソン:
どうも
すべての作用には同じだけの反作用が生じる
ジョン・アダムズはヘマしまくった
俺はあいつのこと好きだけど もはや満身創痍だな
哀れなアレクサンダー・ハミルトン? あれもすっかり大人しくなっちまって
結果、俺の対立候補は──

ジェファーソン、マディソン:
アーロン・バー!

ジェファーソン:
あいつも自身の党派で出馬

マディソン:
北部じゃ彼はとても人気がある
ニューヨークの人々は彼に期待しているようだ

ジェファーソン:
あいつはどんな意見もそうそう強く主張してこない

マディソン:
彼に質問を投げてみても 話を逸らされ
うやむやに誤魔化されるな

ジェファーソン:
みんな俺のことを親仏家だとかバカにしやがるが
少なくとも 俺がフランスの場所を知ってるってことは
誰の目にも明らかだろ

マディソン:
トーマス、それこそが問題なんだよ
みんなバーの事を
君をおとなしくしたぐらいの人間だと思ってる

ジェファーソン:
冗談だろ

マディソン:
君はすこしやり方を変える必要がある
誰か支援者を得ることで
印象を良くできるかもしれない

ジェファーソン:
誰を考えてるんだ?

マディソン:
笑うなよ

ジェファーソン:
誰だよ?

マディソン:
ともに働いたこともある人間だ

ジェファーソン:
おいまさか

マディソン:
なあひょっとすると うまくいくかもしれないぞ
ハミルトンを味方につけられたら

ジェファーソン、マディソン:
ひょっとすると いい考えかもしれないぞ
ハミルトンを味方につけられたら

バー:
口数を減らして!
もっと微笑む!
自分の支持や反対するものを
周囲には悟らせるな!
そこの彼と握手して!
そこの彼女を魅了する!
時は1800年
淑女の皆様 バーに一票をと
旦那様にお伝えください!


アダムズは好きじゃない

あの人は勝てっこないでしょ 敗北主義者だもの

かといってジェファーソンは──

フランスが大好き!

ほんと、エリート主義者ってかんじ!

アーロン・バーはいいな

彼ってばすごい素敵だわ!

なんか親しみやすさがあるっていうか…?

一緒に一杯飲めそうな感じがするよね!

アンサンブル:
親愛なるハミルトンどの
我々 連邦主義者の同胞としては
あなたが誰に投票するのか知りたいのです

ハミルトン:
郊外はとても静かだ

アンサンブル:
親愛なるハミルトンどの
ジョン・アダムズは望み薄なわけですが
あなたは誰を支持されるんですか?

ハミルトン:
郊外はとても静かだ


ジェファーソンかバーか?
どっちでも負けなのは分かってますが
ジェファーソンかバーか?
どちらか一人を選ぶとしたら

親愛なるハミルトンどの
ジョン・アダムズは望み薄なわけですが
あなたは誰を支持されるんですか?
どちらか一人を選ぶとしたら

ハミルトン:
おや これはアーロン・バーどの!

バー:
アレクサンダー!

ハミルトン:
ずいぶんと話題になってるご様子で!

バー:
ああ 一軒一軒訪ねて回ってるんだ!

ハミルトン:
大々的に選挙運動を?

バー:
そうとも!

ハミルトン:
新しい試みだな

バー:
正直とても疲れるがね

ハミルトン:
バー

バー:
なんだい!

ハミルトン:
本気で挑んでいるんだな?

バー:
そうさ 目指すもののために手段は選ばない
思えば、そうだな

ハミルトン:
なんだい?

バー:
そういうやり方を 私は君から教わったんだよ


アンサンブル:
どちらか一人を選ぶとしたら

マディソン:
引き分けだ!

アンサンブル:
どちらか一人を選ぶとしたら

アンサンブル:
あとは下院に委ねられた!

アンサンブル:
どちらか一人を選ぶとしたら

ジェファーソン、マディソン:
あとはハミルトン次第だ!

どちらか一人を選ぶとしたら
ジェファーソンかバーか?
選択を!

ハミルトン:
さて
人々は僕の意見を聞きたがってる
この国は難しい選択を迫られているわけだが
私が誰を支持するかというのなら
──ジェファーソンだと言っておこう
私はジェファーソンとは一度として意見が揃ったためしがない
何から何まで反目し合う間柄だった
だが結局のところはっきりしているのは
ジェファーソンには信念がある
バーにはそんなものはない

マディソン、ジェファーソン:
これは驚いた 信じられない

マディソン:
ハミルトンが君に味方したぞ

アンサンブル:
まさか驚いた 信じられない

ジェファーソン:
で?

マディソン:
君の圧勝だ

バー:
当選おめでとう
なかなかいい勝負だったんじゃないかね

ジェファーソン:
そうさな

バー:
これから君と協力して公務につけることを
楽しみにしているよ

ジェファーソン:
はあ 協力?

バー:
君の副大統領としてさ

ジェファーソン:
はっ よくいうぜ
聞いたかおい? 俺に真っ向から対抗して活動してたやつが
「協力して公務につけることを楽しみにしてる」だとよ

マディソン:
まあ確かに 次点の者が副大統領にというのもおかしな話だな

ジェファーソン:
ああ、だったらその制度 変えられるぞ
何でかわかるか?

マディソン:
なぜだ?

ジェファーソン:
俺が大統領だからだ
ああそうだ、バー
ハミルトンに会ったら 支援への礼を伝えといてくれ

Hamilton - It's Quiet Uptown

アンジェリカ:
どんな言葉も届かない瞬間がある
名前もつけられないほどつらい苦しみがある
私たちは我が子を全力で抱き締めて
想像もつかないそれを 遠ざけようとする
あまりにも深く突き落とされて
そのまま 沈んでしまうほうが楽に思えるとき

ハミルトン一家は郊外へと移り住んだ
そして想像もつかない痛みとともに生きることを学ぶ

ハミルトン:
何時間も庭で過ごして
ひとりで店へと歩く
郊外はとても静かだ
ずっと 静けさなんて嫌いだったのに
日曜には子供たちを教会へ連れていく
扉には十字架が
そして僕は 祈る
これまで 祈ったことなんてなかったんだ

アンジェリカ:
彼が 街中でひとり歩くのを
独り言をいうのを見かけたら
わかってあげて

ハミルトン:
なあフィリップ お前もきっとここを気に入ったよ
郊外はとても静かなんだ

アンジェリカ:
彼は想像もつかないほどの悲しみを
乗り越えようとしているのだから


頭には白髪が目立つようになった
彼の姿を毎日見かけるんだ
一日中 街を歩いていると聞くよ


ハミルトン:
お前を失って 僕の心は打ち砕かれてしまった


ねえ 想像できる?


ハミルトン:
こんなことになってしまった
僕らは どれだけのものを失ったろう
イライザ、僕に君から許される資格がないのはわかってる
でも聞いてほしい それだけで充分だから

もし あの子の命を取り戻せるのなら
僕の命と引き換えにできるのなら
あの子が 今ここに立っていて
君が微笑んでくれれば それで充分なのに

僕らが直面している試練を
僕が分かっているだなんて思わないよ
かけがえのないものを 失ってしまった
そして君にも 時間が必要なんだと思う
でも 怖くなんてないんだ
僕は君と結ばれたのだから
ただ 君の隣にいさせてくれれば
それで充分なんだ


彼が 彼女の隣を歩くのを
彼女に話しかけるのを見かけたら
わかってあげて


ハミルトン:
イライザ、ここの生活はどうだい? 郊外はとても静かだね


彼は想像もつかないほどの悲しみを
乗り越えようとしている
二人が公園を歩くのを見かける
日が暮れた街の景色を ただ眺めている


ハミルトン:
ねえご覧よ イライザ


彼らは想像もつかないほどの悲しみを
乗り越えようとしている


アンジェリカ:
どんな言葉も届かない瞬間がある
名前もつけられないほど深い優しさがある
私たちたちは理解できないものを 遠ざけようとする
想像もつかないそれを 遠ざけようとする
二人は庭に佇んでいる
イライザの隣にはアレクサンダーが
あの子は彼の手をとる

イライザ:
ここは静かね


許す心 ねえ想像できる?
それがどれほどのものか 想像できる?
彼が 彼女の隣を 歩くのを
彼女に話しかけるのを見かけたら
わかってあげて
彼らは想像もつかないほどの悲しみを
乗り越えようとしているのだから

Hamilton - Stay Alive (Reprise)

死なないで…
死なないで…

ハミルトン:
息子はどこに?

医者:
ハミルトンさん、お入りください
息子さんは30分ほど前こちらに運び込まれました
来るまでにだいぶ出血されていて

ハミルトン:
生きてるんですよね?

医者:
ええ しかし分かってください
弾丸は腰のすぐ上を撃ち抜いて右腕に入った

ハミルトン:
息子に会わせてください お願いします

医者:
出来る限りの処置をしていますが
着いた時すでに傷口が感染していたんです──

ハミルトン:
フィリップ

フィリップ:
父さん
言われた通りにしたよ 僕
堂々と向き合ったんだ

ハミルトン:
ああ わかってる 喋らないで
わかってるさ
お前はなにひとつ 間違えてなんかいないよ

フィリップ:
10数えきる 前から──
空に銃を向けてたんだ
ちゃんと空に向けてたよ

ハミルトン:
わかってる わかってるよ
無理に喋らないで
どうか生きのびてくれ…

イライザ:
うそよ、どうして!

ハミルトン:
イライザ

イライザ:
息をしてるのよね? この子は助かるの?
誰がこんなことを
アレクサンダー、あなた知ってたの?

フィリップ:
母さん 教わったこと 忘れちゃってごめんなさい

イライザ:
フィリップ──

フィリップ:
一緒に ピアノをひいたよね

イライザ:
あなたにピアノを教えたわ

フィリップ:
僕の上に手をかさねて さ

イライザ:
あなたはいつも メロディを変えるのよね

フィリップ:
あは いつも違うことしてた

イライザ:
ええ わかってるわ 喋らないで

フィリップ:
いつも違うことしちゃうんだ

イライザ:
そうね 覚えてるわ…
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

フィリップ:
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

イライザ:
そうよ
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

フィリップ:
アン ドゥ トロワ…

イライザ:
セット ユイット ヌフ──
セット ユイット…

Hamilton - Blow Us All Away

フィリップ:
新たなキングスカレッジ卒業生の登場だ
自慢はいけないかもしれないけど
僕はそりゃもう 凄い才能で皆を驚かせる
学者たちいわく 僕には父と同じだけの頭脳と才能があるって
レディーたちいわく 父譲りなのは頭の出来だけじゃない
まだ19歳だけど 中身はもっと大人さ
父のように自立した立派な男にならなきゃ、そしてもっと勇敢に
僕は父の遺産を誇りを持って背負うんだ
父さんはよく言っていた
いつか 僕は──

みんなを驚かせる

フィリップ:
お嬢さんたち、僕 ジョージ・イーカーって男を探してるんだけど
先週、独立記念日のスピーチをした人なんだ
あいつ大衆の前で 父の築いた遺産を批判した
許すわけにはいかないんだ 父の名誉にかけて

マーサ:
さっき2ブロック先のブロードウェイで見かけたわ
劇を観に行くって言ってた

フィリップ:
そうか、なら劇場まで訪ねるとしよう

ドリー:
ねえあなた すごい色男ね

フィリップ:
君たちもそのドレスとっても似合ってるね
僕の用事が済んだら あとで一緒に脱がせ合うってのはどう?

マーサ、ドリー:
いいわね!

みんなを驚かせる!


フィリップ:
ジョージ! おい、ジョージ!

ジョージ:
静かにしろ! いま劇を観てるんだぞ!

フィリップ:
お前こそ 僕の父について不躾な口を叩かずに
静かにしてるべきだったんだ!

ジョージ:
何も間違ったことは言ってないさ
お前の父親はろくでなしだ 見たところお前さんもそうらしいな

アンサンブル:
うわーお

フィリップ:
あくまで謝らないつもりか?

ジョージ:
そうさ 俺は軽口は叩かん
お前の同級生のガキどもとは違うんだ

フィリップ:
なら決闘の場で会おう
お前が今すぐ外に出て勝負する気があるなら別だが

ジョージ:
お前の居場所は知ってるから、とっとと消えろ
劇の途中なんだよ


フィリップ:
父さん、あいつが父さんのこと何て言いやがったか
聞いたら父さんだって怒ったはずだ 僕にはとうてい我慢できなかった──

ハミルトン:
落ち着きなさい

フィリップ:
父さんのアドバイスが欲しくて
決闘するのは初めてなんだ
学校じゃそんなこと教わらなかったし

ハミルトン:
友人同士で和解の交渉はしたのか?

フィリップ:
向こうが謝罪を拒んだから 交渉決裂したよ

ハミルトン:
決闘の場所はどこで?

フィリップ:
川向かい、ジャージーで

ハミルトン、フィリップ:
ニュージャージーではなんでも合法だから…

ハミルトン:
わかった こうしなさい
イーカーと向き合うまで あくまで堂々と立っているんだ
その時がきたら 銃を空に向けて撃ちなさい
それですべて丸く収まるはずだ

フィリップ:
でも それで相手が撃ってきたら? 僕はやられちゃうよ

ハミルトン:
いや 向こうが信義ある男なら すぐお前と同じようにするはずだ
誰かの命を奪ったりすれば ずっと後悔を抱えることになる
お前の母さんにこれ以上つらい思いをさせてはいけないよ

フィリップ:
父さん──

ハミルトン:
約束してくれ
その青年の血で自分の手を汚してはいけない

フィリップ:
わかったよ、約束する

ハミルトン:
終わり次第 家に帰ってくるんだぞ
父さんの拳銃を持っていくといい
うまくやるんだ 頑張って行ってきなさい

フィリップ:
僕はフィリップ
僕は詩を書く
ちょいと緊張してるけど とにかく
僕は誇りある ハミルトンの男だ
父に関する暴言を 許すわけにはいかないんだ
イーカーさん! 劇はどうでした?

ジョージ:
社交辞令はいらん さっさと行くぞ
拳銃を持ってついてこい

フィリップ:
確認するぞ
決闘は10カウントをしてから行う

カウント開始!

フィリップ:
相手の目を見て まっすぐ銃を構えろ
持てる勇気を振り絞って
ゆっくり 相手に分かるように 銃を上空に向けて構える

1 2 3 4 5 6 7 ──

Hamilton - Burn

イライザ:
あなたからの手紙はすべてとってある
初めて読んだ瞬間から
あなたは私のものだと分かった
あなたは私のものだと言ってくれた
あなたは私のものだと思っていた

最初にあなたの手紙が届いたとき
アンジェリカがなんて言ったか知ってる?
彼女こう言ったの
「イライザ、気をつけなさいよ 彼
生き残るためには手段を選ばないタイプだわ」

あなたの言葉で私の五感は満たされた
あなたの綴る文章で 私は無防備になったわ
あなたは連なる段落で 王宮を造りあげた
聖堂を建てて見せた
私はあなたからの手紙を読み返す
答えを探して
一行一行に
なにかの証を
あなたが私のものだった時
世界はまるで
燃えるようだった…
燃えるようだったの…

あなたは彼女からの手紙を世間に公表した
あなたがどのようにその娘を
私たちのベッドへ連れ込んだか 世界に教えて
自分の汚名を濯ぐために 私たちの生活を滅茶苦茶にしたわ
あなたのやった事を知ったとき
アンジェリカがなんて言ったと思う?
彼女、「あなたの夫はイカロスだった
太陽に近づきすぎたのよ」って言っていた

あなたの言葉には 後世へ残す遺産への固執がにじみ出ていた
理性を欠き 取り乱した文章
すべての段落で あなたは自意識過剰で
世界があなたをどう受け取るかを気にして

あなたは本当に、自分のことばかり…

私はこの物語から 自分の存在を消すの
後世の歴史学者は勝手に考えればいいわ
あなたがイライザを傷つけ 心を打ち砕いたとき
彼女が一体どんな反応をしたのかって
だから 燃やしてしまうの
燃えてしまえばいい
世界は私の心を知る権利を持たないし
私たちのベッドに入る資格もない
私がなんと言ったか 知ることはないの
私は記憶を火にくべる
あなたを救ったかもしれない手紙を 燃やしてしまうわ
あなたは私の心に触れる権利を失った
私たちのベッドにあなたの居場所はない
あなたはご自分の仕事場で眠るのよ
ただ あなたが私のものだった頃の
記憶だけを抱えて
あなたなんて 燃え尽きてしまえばいい

Hamilton - The Reynolds Pamphlet

レイノルズ・パンフレットだって

ジェファーソン、マディソン、アンジェリカ:
これ 読んだ?

バー、ジェファーソン、マディソン:
アレクサンダー・ハミルトンが
人妻とのお熱い不倫のこと
全てここに書いて公表してる

マディソン:
ハイライトだ!

ハミルトン、ジェファーソン:
「私に向けられた嫌疑は
ジェームズ・レイノルズという人物との
関わりにまつわるものである
私は彼の不正な資金利用に携わったという
疑いをかけられているが
私の実際の罪は
彼の妻との不貞行為にある
この関係は 夫である彼の了承のもと
しばらく続けられた」

マディソン、バー、ジェファーソン:
わお!

ハミルトン、ジェファーソン、マディソン:
「私は彼女と頻繁に密会を重ねた
逢瀬は主に私の邸宅で」

バー:
自宅で!

マディソン:
自宅で!

うわあ!

ハミルトン、ジェファーソン:
「ハミルトン夫人が子供達を連れて
実家の義父のもとを訪れている間に行われた」

マディソン、バー:
ひどいな…


最低!

マディソン、バー:
なあこれ 読んだか?

ジェファーソン:
これでこの先 奴が大統領になる望みは消えたな

マディソン、バー:
もう大統領にはなれないぞ

ジェファーソン:
奴が大統領になる日は来ない

マディソン、バー:
もう大統領にはなれないぞ

ジェファーソン:
奴が大統領になる日は来ない

マディソン、バー:
もう大統領にはなれないぞ

ジェファーソン:
これで心配事がひとつ減った

ジェファーソン、マディソン、バー:
心配事がひとつ減った!


アンジェリカ:
知らせを受けて急いで来たの

ジェファーソン:
何だって!?

ハミルトン:
アンジェリカ──


はるばるロンドンから!?
すげぇな

ハミルトン:
アンジェリカ、よかった
僕のことを分かってくれる味方が
ひとりいるだけで

アンジェリカ:
あなたのために来たんじゃないわ

アンサンブル:
あいたた!

アンジェリカ:
妹のことは私 自分のことのようにわかるの
あんなに優しくて 誠実な子は他にいないわ
私はこの世のなによりも妹のことを愛してる
自分よりあの子の幸せが私にとっては大事なのよ
私たちの友情はもう関係ない
私はあくまであの子の味方よ
あなたは満ち足りることを知らない人だった
ご自分の選択にいま満足してることを願うわ

ジェファーソン、マディソン、バー:
これでもう大統領にはなれないぞ
これでもう大統領にはなれないぞ
これでもう大統領にはなれないぞ
これで心配事がひとつ減った
心配事がひとつ減った

まあでも
少なくとも金に関して不正はなかったわけだ!

ハミルトン:
少なくとも金に関してはクリーンだったんだ!

アンサンブル:
これで心配事がひとつ減った
レイノルズ・パンフレット

ジェファーソン、マディソン、バー:
なあこれ 読んだか?
あんなふうに自分で身を滅ぼすやつ 見たことあるか?

彼の奥さんもかわいそうに

Hamilton - Hurricane

ハミルトン:
ハリケーンの目の中には
静寂が広がる
ほんの一瞬のあいだ
黄色い空が

僕が17だった時
ハリケーンが僕の町を破壊した
僕は溺れなかった
死ねなかったんだ

僕は自分の道を書き出した
目に映るすべてを文字にしたためた
僕は書くことで苦難を脱したんだ
ふと顔をあげると 町の人々が僕に注目していた

みんなは寄金を募ってくれた
まったくの赤の他人が
僕の話に心をうたれ 慈善に動いた
そして僕がニューヨークに向かうのに
充分なだけの資金を集めてくれた…

僕は地獄から脱する道を書き出したんだ
革命に向かって文章を書いた
僕の声は自由の鐘よりも高らかに鳴り響いた
僕はイライザが僕のものになるまで恋文に想いをつづった
僕は論文で合衆国憲法を擁護してみせた
無知な者たちの抵抗にも屈さず
この国の金融システムを実現まで書き上げた
そして僕の神への祈りに応えが得られなかった時
僕はいつだってペンを手に取り 自らの救済を書き出してきた

ハリケーンの目の中には
静寂が広がる
ほんの一瞬のあいだ
黄色い空が

母が死んだのは僕が12の時だった
あの人は僕を抱きしめていた
僕らは二人とも病に倒れ 母は僕をずっと抱き締めていた
僕は死ねなかった

バー:
その時を待つんだ…

ハミルトン:
僕は自分の道を書き出そう

バー:
待つんだ…

ハミルトン:
目に映るすべてを文にしたためる…

ワシントン、イライザ、アンジェリカ、マリア:
歴史が行く末を見守っている

ハミルトン:
脱する道を自ら書き出して見せる
人々を驚嘆させるほど真正直に
これはハリケーンの目なんだ
僕の後世への遺産を守るための
これが唯一の道だ…


待つんだ…

ハミルトン:
レイノルズ・パンフレットだ

Hamilton - We Know

ハミルトン:
副大統領閣下
マディソンどの
バー上院議員
これはいったい何ですか?

ジェファーソン:
我々はとある小切手控えを入手している
複数の口座からのものだ…

マディソン:
ぞれぞれ異なる金額で
合計は千ドル近く…

バー:
宛名はミスター・ジェームズ・レイノルズ
発行されたのは1791年のことだね

ハミルトン:
なるほど? 用件はそれだけか?

マディソン:
貴殿はその地位にもとい難しい立場に置かれている──

ジェファーソン:
もっとも人道にもとる行いによって
その立場におかれては危ういものだが──

マディソン:
公に尽くす使命から外れ 私利私欲の道に走るとは──

ジェファーソン:
この証拠により君にはとある疑惑がかかっている──

バー:
移民が我が国の財源を横領していると──

ジェファーソン、マディソン:
新聞の見出しが目に浮かぶ 貴殿のキャリアも終わりだな

バー:
大事な子供達のために貯金してあることを願うよ

バー、ジェファーソン、マディソン:
とっとと故郷に逃げ帰ることをおすすめするぞ!

ハミルトン:
くだらん!
君たちはまったく見当違いの自白をさせようとしてる

ジェファーソン、マディソン、バー:
告白したまえ

ハミルトン:
そんなものは何の意味も持たない
僕から君たちに語るべきことなど何もないさ
ただし

ジェファーソン、マディソン、バー:
ただし

ハミルトン:
もし 僕が法に触れるようなことをしていないと
君たちにこの場で証明できたなら
これから目にすることを誰にも口外しないと 誓えるか?

バー:
今この場に 他には誰も居合わせない

ハミルトン:
承諾するのか?

ジェファーソン、マディソン、バー:
あー、よし

バー:
「拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
そりゃもう 私のようなうだつの上がらない男にも
援助を頂けるくらいには ご清栄であることを願ってます
というのも あれは私の妻でしてね あなたが──」

ジェファーソン:
なあああんと──

ハミルトン:
彼女から誘ってきたんだ
寝室に連れ込まれて 僕にはどうしようもなかった
そしたらレイノルズが強請ってきたんだ
賤しく金銭を要求された
僕は複数回に分けて支払った
この先のキャリアに致命的な傷を負ったかもしれんが
少なくとも書面に矛盾はないはずだ!
ご覧の通り 僕はこれまでのありとあらゆる支払について
記録を残してる
君たちのお手元のリストと照合したまえ
僕は一銭たりとも自分以外の金には手を付けてない
僕の匂いを犬に辿らせたいなら、好きにするがいい
ああ たしかに僕は恥ずべき事をしたさ
だが決して国家を裏切り名誉を損ねたりはしていない
法を犯すような真似はひとつたりともしていないと
はっきりお分かり頂けたはずだ
これで回答に足るかね?

ジェファーソン:
なんとまあ

マディソン:
諸君、行くぞ

ハミルトン:
それで?

ジェファーソン、マディソン:
ここでの話を人々が知ることはない

ハミルトン:
バー!
もしこの先 僕らが対立した時に
君が今の話を僕の不利に使わないという保証はあるのか?

バー:
アレクサンダー、噂は勝手に広まるものだよ
そして我々はお互いに 何を知ってるのか分かってるはずだ

Hamilton - The Adams Administration

バー:
ハミルトン、あの短気で手広い
アメリカ沿岸警備隊の生みの親、
ニューヨーク・ポストの創業者が
どのように自分の地位を濫用し
自らの評判を貶めたのか?
皆さん ようこそ

アダムズ大統領政権へ!

バー:
次点のジェファーソンは副大統領に

ジェファーソン:
もうワシントンは助けてくれない
お優しい大統領の時代は終りだぞ

バー:
アタムズはハミルトンを解任して
陰で奴のことを「クリオールの私生児」と罵った

ジェファーソン:
なんとまあ

バー:
ハミルトンはそれに対する返事を公刊

ハミルトン:
大人しく座ってろ、ジョン このクソデブ──[ピー音]──

バー:
もはや制御不能だな

マディソン:
素晴らしい! もはや奴に力はない 役職にも就ていない
おまけにたったいま 向こうの政党で唯一奴と同じくらいの力を持つ
ジョン・アダムズ大統領を叩きのめしたわけだ

ジェファーソン:
いや、ハミルトンは誰かにぶら下がって動くような奴じゃない
あいつがペンを握れるかぎり、我々に危害をなす存在であることに変わりないんだ
俺たちの握っている情報を 奴にしらせよう

Hamilton - I Know Him

英国王ジョージ三世:
聞いた話によれば 
ジョージ・ワシントンは地位を明け渡して引退するらしい
本当に?
そんなことが可能だなんて私 知らなかったよ
ちょっと困惑してる
彼ら、そうやって上に立つ人間を取り替え続けるつもりなの?
だとしたら 次は誰なんだい?
彼らの「国」であれほど大きな存在感を持つ男はほかにいないだろう…

ジョン・アダムズ!?
知ってるよ
まさか ありえない
私に謁見したことのある あの小男だろ
何年も前のことだ
いつだったっけ、85年?
可哀想に きっと彼らにバリバリ喰われちゃうよ
海原は荒れ 帝国は滅びる
ワシントンに比べれば 誰もが矮小に見える
ひとりぼっちで
連中が奮闘するのをごらんよ
いまにきっと互いを八つ裂きにしあうぞ
すごいや めっちゃ楽しみ!

ダダダダダ…♪

アハハハハハハ!
ジョン・アダムズ大統領ね
頑張って

Hamilton - One Last Time

ハミルトン:
大統領閣下 ご用とのことでしたが?

ワシントン:
忙しいところすまない

ハミルトン:
何のご用件ですか? 閣下?

ワシントン:
君にひとつ言っておきたいことがある

ハミルトン:
閣下 何を聞いたのか知りませんが
悪いのは僕でなくジェファーソンの奴ですよ

ワシントン:
トーマス・ジェファーソンは今朝、辞任の意を表明したよ

ハミルトン:
まさか

ワシントン:
君に頼みたいことがあるんだ

ハミルトン:
何でも言ってください ジェファーソンには必ず責任を取らせます

ワシントン:
しぃ 少し口数を減らしたまえ

ハミルトン:
新聞社を使ってやれます
仮名で投稿しますよ 奴に一矢報いてみせましょう──

ワシントン:
君には演説の下書きを頼みたいんだ

ハミルトン:
そうですね!
ジェファーソンがいなくなれば やっとあなたも自由に発言できる──

ワシントン:
そうじゃない 彼は大統領に立候補するために長官を辞任するんだ

ハミルトン:
そりゃまた あなたを相手に勝てるわけがないのに

ワシントン:
私は争う気はないよ 引退するつもりだ

ハミルトン:
え すいません今 何て?

ワシントン:
これが最後だ
落ち着きなさい 一緒に酒でも飲もう
これが最後だ
今夜はちょっと休憩して
お別れの言い方を 人々に示すのさ
お別れするんだ
君と私で

ハミルトン:
そんな 閣下、どうしてですか?

ワシントン:
私は中立性について話したい

ハミルトン:
閣下、英国とフランスが戦争しようとしているこんな時に──

ワシントン:
派閥主義への警告を言い含めたい

ハミルトン:
でも──

ワシントン:
ペンを取って 書きなさい
私が学んできたことについて語りたい
様々な苦労の末に得た教訓を

ハミルトン:
国民のためにも あなたは続投するべきです
まだまだ続けることは出来るはず──

ワシントン:
いいや! これで最後だ
人々が私の声を聞くのは
これで最後
そしてうまくやれれば
我々はお別れの言い方を民に示せるだろう
君と私で──

ハミルトン:
閣下、人々はあなたが弱くなったのだと言いますよ

ワシントン:
違うさ、彼らはこの国がいかに強いのか分かるようになる

ハミルトン:
あなたに代われる人なんていない

ワシントン:
だからこそ前進するきっかけにできる

ハミルトン:
どうしてお別れしなくちゃならないんです?

ワシントン:
私が退けば この国は移りゆくことを学んでいける
私の亡きあとも 長く繁栄していけるんだ
聖書にあったろう
「人はそれぞれが自分のブドウとイチジクの木の下に座り 彼らを脅かすものは何もない」
人々は私たちの築いたこの国で 安全に暮らしていける
私も自分のブドウとイチジクの木の下に座り
木陰で休みたいんだ
私たちのつくり上げたこの国の わが家で
これを最後に

ハミルトン:
これを最後に


ハミルトン:
私の政権のもとで起きた出来事を振り返るいま
そこに決して 意図的な失敗はなかったとはいえ、
私自身の弱さから 見過ごしてしまった
多くの過ちがあったことと思います

ハミルトン、ワシントン:
どうか 人々が寛大な心を持って
それらを容赦してくださることを
また、この国のためひたむきに尽くしてきた
45年間の締めくくりを持って
休息につくこの身とともに
私の未熟さゆえの過ちも赦されんことを 願うばかりです

そして今 引退を迎えたこの身が
いち民間人として、
私が生涯、心から愛する自由な政府のもとで
良き法の庇護をうけられることを
私は歓喜の期待とともに受け止め
これまで皆と共に助け合い、労め、
危険に挑んできたことへの
至上の報酬と思います

ワシントン:
これを最後に


ジョージ・ワシントンが帰っていく!

ハミルトン:
お別れの言い方を 示してあげてください

ワシントン:
君と私で

ジョージ・ワシントンが帰っていく!

ワシントン:
わが家へ帰るんだ…
歴史が君たちの行く末を見守っている
お別れの言い方を皆に示すのさ!
さようならを伝えるために!
お別れを!

これを最後に!

Hamilton - Washington On Your Side

バー:
羨ましい限りだ さぞ居心地のいいことだろう
ワシントンが味方にいるのは…

ジェファーソン:
すべての作用には同じだけの反作用が生じる
ハミルトンのおかげで 議会は派閥に割れている
ひとたび限界を迎えてしまえば 我々は分数のように分かれて行くぞ
みんな紙面上で主張し殴り合って 撤回などしない
あいつの癇癪ぶりを見るのに俺はうんざりしてるんだ
お洒落してめかしこみ 流行の先端を気取ってるのも
かわいそうなのは農民たちだ 彼らが日々を食いつなぐ一方で
ウォールストリートの連中は奪ったチップを現金に換えていく
奴のやってることを誰かが非難してやらなきゃ
あの間抜けの正体を暴くための 取っ掛かりをくれよ
引き金は俺が引く 誰か銃に弾を込めて撃鉄を起こしてくれ
俺たちみんなの見てる前で 奴はワシントンの威光を意のままに使ってる

ジェファーソン、バー:
羨ましい限りだ さぞ居心地のいいことだろう
ワシントンが味方にいるのは…

権利章典を見返してみろ

マディソン:
私が書いたんだ

ジェファーソン、マディソン、バー:
そのインクも乾かぬうちに
羨ましい限りだ さぞ居心地のいいことだろう
ワシントンが味方にいるのは

マディソン:
それで奴は政府規模を二倍にしたわけだが
そもそも前に我々を支配していた政府の問題こそ
その大きすぎる規模にあったんじゃないのか?

バー:
あいつの眼を見てみろよ!

ジェファーソン:
あの嘘つきめ

マディソン:
奴の動かす金の臭いを追うんだ

ジェファーソン:
中央政府で国債を販売して
国家の公的信用を強化するだとさ

マディソン:
食い止めなければ幇助したも同然だ

ジェファーソン:
俺は辞任するしかないね

マディソン:
誰かが南部のために立ち上がらなくては

バー:
誰かがあの男を黙らせなくては

ジェファーソン:
火事を食い止めたいのなら

マディソン、ジェファーソン:
家の中にいても消火はできん

ジェファーソン:
議会にいる俺だってこれじゃ共犯者だ
奴が権力を引っ掴み口づけるのを眺めてるだけ
ワシントンが正しい反対意見に耳を貸さないなら
決裂するしかない
これ以上はなしだ!

マディソン、バー、ジェファーソン:
ああ!
あの移民を選んだのは俺たちじゃない
ああ!
あいつのおかげで俺たちはやる気だぞ
ああ!
あの連邦主義者どもに誰を相手にしてるのか分からせてやろう!
ああ!

ジェファーソン、マディソン:
俺ら南部のくそったれ──

ジェファーソン、マディソン、バー:
デモクラティック・リパブリカン達だ!

ああ!
あいつの金の動きをたどるんだ

でないと財務省は日に日に力を増していく
金の動きを追って 行きつく先を調べれば
そうして細かく探すんだ
ハミルトンの悪事の証拠を

羨ましい限りだ さぞ居心地のいいことだろう

マディソン:
金の動きを追って 行きつく先を調べるんだ

ジェファーソン、マディソン、バー:
羨ましい限りだ さぞ居心地のいいことだろう

ジェファーソン:
王様は素っ裸だぞ

ジェファーソン、マディソン、バー:
俺たちは無視されも 無力に甘んじもしない
とはいえ
羨ましい限りだ さぞ居心地のいいことだろう
ワシントンが味方にいるのは

Hamilton - Cabinet Battle #2

ワシントン:
本日の議題だが
フランスが今にも英国と戦争に入ろうとしている
そこで我が国としては フランスへ物資や兵力の支援をすべきか
もしくは無関係でいるべきか、という問題だ
なおこの件については議会の承認を得るかどうかではなく
私の一存にて決定する
よって 説得すべき相手は私一人であることを忘れないでくれ
ではジェファーソン長官から 発言をどうぞ

ジェファーソン:
俺たちが崖っぷちにまで追い詰められていたとき
我々は約束をかわし 条約にサインした
資金と武器と機会を欲していた我々に
手を貸してくれたのはどこだ?

マディソン:
フランス

ジェファーソン:
その見返りに 彼らは領地など要求しなかった
ただひとつ 彼らがいずれ同じように敵と戦うとき
我々が手を貸すという約束を求めただけだ
革命はやっかいではあるが 今こそ彼らのために立ち上がる時じゃないのか
圧政に立ち向かう同胞たちと 共に戦おうじゃないか
まあ本日 アレクサンダー・ハミルトン氏もこの場にいるわけだが
おそらく彼はこの議論を避けたいところとお察しする
ひとつ言っておきたいのは 国務長官は私であって彼じゃない
ハミルトンは忠義の何たるかを分かっちゃいない
貴族の真似して着飾ってるだけの 成りあがりの金の亡者だ
出世の野心にとらわれてる
あいつのやる事すべて 我が国の理想を裏切る行為に過ぎない

アンサンブル:
うわお

ジェファーソン:
お気づきでなかったなら これでお分かりでしょう 大統領どの

ワシントン:
ありがとう ジェファーソン長官
では ハミルトン長官 それに対する応答をどうぞ

ハミルトン:
おたくは気でも狂ってんじゃないのか
あんたは大統領がこの国を
あの軍事的混沌のさなかに介入させるとでも思うのか
フランスは今 キングもクイーンも持たずにチェスをやってるんだぞ
俺たちが条約を交わした王の首は斬られて籠に入ってる
取り出して聞いてみるかね?
「ルイ16世の頭にお訊ねしたいんですが 我々は条約を履行すべきですかね?」
「えっと 好きなようにすれば 何しろ僕は死んじゃってるし」

ワシントン:
もう充分だ
ハミルトンは正しい

ジェファーソン:
大統領──

ワシントン:
我々はまだ次の戦争を始められるような状態じゃない

ジェファーソン:
しかし大統領 我々は自由のために戦うのではないのですか?

ワシントン:
勿論そうするさ
フランスが指導者を決めたらな

ジェファーソン:
民こそが国を導いているのです──

ワシントン:
民衆は暴動を起こしているに過ぎん
それを履き違えるべきではない
正直に言うがね 君はたまに理想を求めるあまり
現実を見極められていないところがあるように思うよ
ハミルトン

ハミルトン:
はい

ワシントン:
中立の宣言を下書きしておいてくれ


ジェファーソン:
お前はラファイエットを忘れたのか?

ハミルトン:
何だと?

ジェファーソン:
少しでも咎める良心はないのか?
大きな借りを作って 力を手にしたはずのお前が
いざそれを返すべき時に 知らぬふりを決め込むつもりか

ハミルトン:
ラファイエットは聡明な男だ 心配はいらない
彼との付き合いは 俺のほうがあんたより長いんだ
世界中で起きる革命すべてに干渉していたら
それこそ限がなくなるぞ
どこで線引きをするつもりだ?

ジェファーソン:
頭の回転が速いことだ

ハミルトン:
残念ながらね

ジェファーソン:
さぞ腕利きの弁護士だったことだろうな

ハミルトン:
依頼には応えたさ

ジェファーソン:
へえ
ひとつ言っておくがな

ハミルトン:
何だい?

ジェファーソン:
お前がそうしてられるのは ワシントンの後ろ盾があるからだ

ワシントン:
ハミルトン!

ジェファーソン:
パパが呼んでるぞ

Hamilton - Schuyler Defeated

フィリップ:
見て!
新聞にお祖父ちゃんのことが載ってる!
「独立戦争の英雄フィリップ・スカイラー
若き新参アーロン・バーに敗れ上院議員の座を奪われる」
お祖父ちゃん 議員選に負けちゃったんだ

イライザ:
そういう時もあるわ

フィリップ:
このこと父さんが知ったら

イライザ:
もう知ってるんじゃないかしら

フィリップ、イライザ:
もっと下を 見てみよう

フィリップ:
新たなニューヨーク邦の議員のご登場だ

イライザ:
ニューヨークの

フィリップ:
上院議員の──


ハミルトン:
バー
君はいつからデモクラティック・リパブリカンになった?

バー:
そっちについて上を目指せるようになってからさ

ハミルトン:
君のやること 考えてること
誰にも理解ができないぞ

バー:
理解される必要なんてないさ
君こそみんなに嫌われてる

ハミルトン:
なんだって?

バー:
そりゃ ウォールストリートじゃ君は評判だ
君はいつも その手で生みだす物が評価される
だがアップステートじゃ──

ハミルトン:
待てよ

バー:
──みんな 君をペテン師だと思ってる
スカイラーの議席が掴める位置にあったから 私は手を伸ばしたまでだ

ハミルトン:
君は僕の友人だと思っていた

バー:
そうでなくなる理由があるのかい

ハミルトン:
君は僕の義父に対抗して出馬するために政党を変えたんだ

バー:
私はチャンスを掴み取るために政党を変えたんだ
なあ 君のそのプライド いずれ破滅を招くぞ
おごれる者久しからず 気をつけたほうがいい

Hamilton - The Room Where It Happens

バー:
おや、財務長官どの

ハミルトン:
バーどの

バー:
マーサー将軍の話は聞いたかい?

ハミルトン:
いいや

バー:
クレルモン通りはわかるだろう?

ハミルトン:
ああ

バー:
彼にちなんで名前を付け直したそうだよ
マーサー将軍の立派な遺産が残されるわけだ

ハミルトン:
なるほど

バー:
ただ死ぬだけでそれが手に入るんだから

ハミルトン:
よっぽど楽な方法だね

バー:
私たちもそのうちやってみるべきだな

ハミルトン:
はは

バー:
ところで君、例の負債肩代わり計画はどうするんだい?

ハミルトン:
そうだな、とうとう君の助言を聞くときがきたようだ

バー:
へえ?

ハミルトン:
「口数は減らして もっと微笑みなさい」

バー:
あはは

ハミルトン:
政策を議会に通すためなら 何だってやってみるさ

バー:
マディソンもジェファーソンも容赦ないだろ

ハミルトン:
まあね 罪を憎み、罪人を愛しなさいってやつだ


マディソン:
ハミルトン!

ハミルトン:
悪いなバー、行かなきゃ

バー:
でも──

ハミルトン:
これから大事な会食があるんだ


バー:
バージニア人ふたりと移民がひとり、部屋に入っていく
対立しあう 敵同士だ
彼らは一度は閉ざされた扉を開け放ち
妥協案を携えて出てくる もはや仲間同士だ

移民は かつて前例のない財力を手に入れる
自身の意のままに作っていける金融システムを
バージニア人は連邦の首都を手にする
そして大事なメインディッシュはここだ

取引が行われたその部屋には 他には誰も居合わせなかった
全てが決められた その肝心の部屋に
取引が行われたその部屋には 他には誰も居合わせなかった
全てが決められた その肝心の部屋に

その話し合いがどう進められたのか 当事者以外に知る者はいない
その取引の妙技 ソーセージの調理を
ただ それがあったのだと推測する
だがそこに居合わせなかった者に それを知る術はないんだ

トーマスいわく──

ジェファーソン:
ある日 ワシントンの家をアレクサンダーが訪ねたんだ
彼は随分と憔悴して疲れ切っていた

バー:
トーマスいわく──

ジェファーソン:
アレクサンダーは言った──

ハミルトン:
もう他に頼れる相手がいないんです!

ジェファーソン:
まあつまり、この俺に加勢してくれるようにと懇願したわけだ

バー:
トーマスいわく──

ジェファーソン:
俺はマディソンに言ったよ──
「君が彼を嫌ってるのは知ってるが、まあ向こうの意見も聞いてやろうじゃないか」

バー:
トーマスいわく──

ジェファーソン:
ミーティングは俺が調整した
メニューも 会場も 席も俺が手配したよ

バー:
だが!
取引が行われたその部屋には 他には誰も居合わせなかった
全てが決められた その肝心の部屋に
取引が行われたその部屋には 他には誰も居合わせなかった
全てが決められた その肝心の部屋に

にらみ合う派閥がどうして合意に至ったのか 当事者以外に知る者はいない
チェスのゲームで 犠牲にされた駒を
ただ それがあったのだと推測する
だがそこに居合わせなかった者に それを知る術はないんだ


一方その頃──

バー:
マディソンは全ての問題が委員会で解決できるわけではないのだと気づく

一方その頃──

バー:
議会は国の首都をどこに置くかでもめている──

(大勢が同時に地名を叫んで聞き取れない)

バー:
目も当てられないね
そこへジェファーソンが会食への招待状を持ってくる
マディソンはバージニア人を視界にとらえ 応える

マディソン:
もしかしたら一つの問題は もう一つの問題をぶつけることで
解決し 南部の勝利に導けるかもしれない つまりは──

ジェファーソン:
ほほう

マディソン:
見返りをね

ジェファーソン:
いいんじゃないかね

マディソン:
君も もう少し故郷に近いところで仕事したいと思わないかい?

ジェファーソン:
それはもう できたら嬉しいね

マディソン:
ポトマック川沿いがいいと思うんだ

ジェファーソン:
それで 君は奴に票で手助けしてやるのか?

マディソン:
まあ そこは様子を見るさ

ジェファーソン:
行くぞ

バー:
なんだと──

取引が行われたその部屋には 他には誰も居合わせなかった
全てが決められた その肝心の部屋に
取引が行われたその部屋には 他には誰も居合わせなかった
全てが決められた その肝心の部屋に

バー:
信じられない!
イン・ゴッド・ウィー・トラスト
だが何が話し合われたのか 誰も本当のところは知らない
カチッ バーンと 鳴った時には全て終わっていた
だがそこに居合わせなかった者に それを知る術はないんだ

アレクサンダー・ハミルトン!

バー:
連中はいったい 何と言って 君にニューヨークを裏切らせたんだ?

アレクサンダー・ハミルトン!

バー:
ワシントンは会食のことを知ってたのか?
この件には大統領直々の圧力がかかってたのか?

アレクサンダー・ハミルトン!

バー:
それとも君は 首都がどこにあろうと関係がないと
その時から既に知っていたのか?

ハミルトン:
だって僕らは銀行を握ってる
金融の中心にいるんだ

バー:
手放した以上のものを得たわけだな

ハミルトン:
そうさ 望み通りのものを手に入れた
プレイヤーとして残りたきゃ 自己資金投資が必要なんだ
だがゲームに参加しなきゃ 勝つこともない
そりゃ愛されもする 憎まれもするさ
でも何も得られないんだよ
ただ 待っているだけじゃ!

主よこの僕をどうかお許しあれ
僕はただ 永く後世に残るものを築きたいだけなんだ

ハミルトン、ジェファーソン、マディソン、ワシントン:
バー、君は何を望むんだ?
何が欲しいんだ?
バー、そんなふうに信念なくして 君は何のために生きるんだ?

バー:
私は…
居合わせたいんだ
取引が行われるその部屋に
全てが決められる その肝心の部屋に
私は いる人間でありたい
取引が行われるその部屋に
全てが決められる その肝心の部屋に

居合わせたい
いなけりゃならないんだ
辿りつかなくては
その部屋に
偉大なる権力の場に

その妥協の妙技──

バー:
両目を瞑って 鼻をつまめ

我らが指導者に救いを求める──

バー:
だが彼らが引き換えに何を手放そうと 我々に文句は言えない

私たちはこの新たなるスタートに夢を抱く──

バー:
だが夢ってのは大概 暗闇の中で見るものさ

そこは墓穴のような暗闇だ

バー:
俺はそこに行かなくては
取引が行われるその部屋に
俺は行くんだ 行かなくてはならない
辿りついてやる…
その肝心の部屋に!


居合わせたいんだ
取引が行われるその部屋に!

カチッ バーン!

Hamilton - Say No To This

バー:
夏のニューヨークときたら
追い詰められてる誰かさんが 美しい人と出会う
波乱の予感だ わかるだろう
アレクサンダーが一人でいるようだ
彼から語ってもらうとしよう

ハミルトン:
もう何週間もろくに眠れていない
弱りきって 目ばかり冴えてた
僕がこんなに参ってるところを
誰も見たことがないだろう
アンジェリカがいてくれたらと
妻に会いたいと願ってた そんな時だったんだ
マリア・レイノルズという女性が僕の前に現れたのは
彼女は言った

マリア:
あなたは信義を重んじる方であると聞いています
突然お宅に押しかけてしまってすみません
でも私 どうしていいのかわからなくて
一人でこちらに伺いました

ハミルトン:
彼女は僕に告げた

マリア:
私の夫は酷い人なんです
私に暴力をふるったり 浮気をして 酷いことばかり
今度はいきなり家を出て行ってしまって
私にはもう生活する術もありません

ハミルトン:
だから僕は彼女に金を貸すと申し出た
家まで送ると言うと 彼女は

マリア:
とてもお優しい方 感謝致しますわ

ハミルトン:
家に置いていた30ドルを彼女に渡した
彼女の住まいは近くだった 彼女は言った

マリア:
ここが私の家ですの

ハミルトン:
僕は言ったんだ 「では私はこれで」
彼女は顔を赤らめて 僕を寝室まで連れて行き
脚を開いて言った

マリア:
一緒にいてくださらない?

ハミルトン:
えっと…

マリア:
ねえ…

ハミルトン:
その時 僕は祈りはじめた
主よ どうか教えてください ここで断る術を
僕にはわからないんだ どうしたらノーと言えるのか

だって彼女は とてもつらく心細そうにしてるし
彼女の体は 「イエス」って叫んでる

ダメだ なんとかして 断らなくちゃ
僕にはわからない どうしたらノーと言えるのか
頭の中では立ち去ろうとしてるのに
でも彼女の唇が僕のに重なったとき 僕にはもう言えなかった

No! No!
断らなくちゃ!
No! No!
ノーって言うんだ!
No! No!
断らなくちゃ!
No! No!
ノーって言うんだ!

ハミルトン:
彼女とはそれが最後だったと言えたらいいんだが
そんなことを言いながら 彼女との逢瀬は良い気晴らしになったんだ
そしてひと月も経った頃 僕に手紙が届いた
ミスター・ジェームズ・レイノルズからだ
さらに困ったことに 手紙の内容は

ジェームズ:
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
そりゃもう 私のようなうだつの上がらない男にも
援助を頂けるくらいには ご清栄であることを願ってます
というのも あれは私の妻でしてね あなたが

ハミルトン:
やっちまった──

ジェームズ:
残念! あんたは寝取る相手を間違えたようだな
楽しんだ分だけ 代価は払ってもらう
べつに 好きなだけうちの淫売と会ってもいいんだぜ
見合った代償さえ支払ってもらえるなら
でなけりゃあんたの奥さんに伝えるまでだ

ハミルトン:
僕は手紙を隠すと 急いで彼女のもとへ向かい
「なんてことをしてくれたんだ!?」って叫んだ
彼女は言った

マリア:
そんなことしてませんわ!

ハミルトン:
服も脱ぎかけで彼女は申し訳なさそうに
取り乱して バカみたいに泣いた

マリア:
行かないでください お願い!

ハミルトン:
最初から僕を騙すつもりだったのか?

マリア:
手紙なんて知りません!

ハミルトン:
泣いてないで しっかりしろ!

マリア:
こんなことになるなんて思わなかったんです

ハミルトン:
もう終わりだ…

マリア:
お願い 私をあの人のもとに置いて行かないで

ハミルトン:
どうしようもない
どうして僕はこんなことを

マリア:
あの人の望むものを差し出せば
私といられるのでしょう
好きなだけ

ハミルトン:
僕は君なんか欲しくない
僕はべつに
僕は…

マリア:
お金を払えば
私といられるのよ

ハミルトン:
主よ どうか教えてください ここで断る術を
僕にはわからないんだ どうしたらノーと言えるのか

だって もうどうしようもない状況だ
そして彼女の体は 「イエス」って叫んでる

ダメだ なんとかして 断らなくちゃ
僕にはわからない どうしたらノーと言えるのか
助けを求めて行ける場所なんてない
でも彼女の身体が僕のに重なったとき 僕にはもう言えなかった

(No! 断らなくちゃ!)

ハミルトン:
Yes

(No! ノーって言うんだ!)

マリア:
Yes!

(No! 断らなくちゃ!)

ハミルトン:
ああ…

(No! ノーって言うんだ!)

マリア:
いいわ!


ハミルトン:
ノーって言わなくちゃ…
でも僕はそれができなかった

マリア:
そんなこと言わないで

ハミルトン:
助けを求めて行ける場所なんてない


ジェームズ:
それで?

ハミルトン:
誰にも口外は無用だ

Hamilton - Take A Break

イライザ:
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

フィリップ:
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

イライザ:
そうよ!
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

フィリップ:
アン ドゥ トロワ
カトル サンク シス
セット ユイット ヌフ

イライザ:
セット ユイット ヌフ──
セット ユイット ヌフ──

フィリップ:
セット ユイット ヌフ──
セット ユイット ヌフ──

イライザ、フィリップ:
1 2 3 4 5 6 7 8 9!


ハミルトン:
親愛なるアンジェリカ
「明日、また明日、そして明日と 日々はゆっくりと忍び寄ってくる」
君は題名を言わずとも分かるだろうね
この引用元、僕とはまた違うひとりのスコットランド人の悲劇を
連中は僕をマクベスだと思ってる
彼らにしてみれば僕の抱く野望こそが愚行で
僕の博識ぶりは奴らにとっては 痛烈にやっかいなもんなんだ
マディソンはバンクォウ、ジェファーソンがマクダフ
バーナムの森たる議会は まさにダンシネイン城へ向かっているところだ

ハミルトン、アンジェリカ:
そして あなたは海の向こうにいる
どうしてそばにいられないんだろう?
会いたいという気持ちがようやく落ち着いても
次の手紙が届いて
すぐにまたあなたのことを考えてしまう…

イライザ:
休憩の時間よ

ハミルトン:
すぐに行くよ

イライザ:
夕食の前に ちょっとしたサプライズがあるの
ねえすぐに来て

ハミルトン:
うん、あとちょっとで切り上げるから
食事はとっておいてくれ

イライザ:
アレクサンダー

ハミルトン:
わかった、わかった、いま行くよ

イライザ:
あなたの息子は今日で9つになるのよ
お披露目したいことがあるんですって
ずっと練習してたの
さあフィリップ、見せてあげて──

フィリップ:
ねえパパ、いくよ──
僕はフィリップ
僕は詩を書く
この詩も 聞かせたかったんだ早く
僕は 今日でようやく9歳
韻を踏ませりゃ誰にも負けない

ハミルトン:
すごいな!

フィリップ:
ママに習うよ フランス語にピアノと
妹はいるけどつぎ欲しいのは弟
パパが取り組む ナショナル・バンク
アン ドゥ トロワ カトル サンク!

ハミルトン:
ブラボー!

イライザ:
休憩しましょ

ハミルトン:
僕らの息子は大したもんだな

イライザ:
夏のあいだ 一緒にゆっくり過ごしましょう
アップステートで

ハミルトン:
イライザ、課題が山積みなんだよ

イライザ:
父の家に滞在できるわ
素敵な湖があるの

ハミルトン:
わかってるよ

イライザ:
近くの公園に

ハミルトン:
僕だって行きたいんだよ

イライザ:
夜になったら二人で 一緒に行けるわ

ハミルトン:
なんとか時間を作ってみるよ


アンジェリカ:
親愛なるアレクサンダー
なんとかジェファーソンを懐柔しなくちゃ
話し合って歩み寄るの 合意できるまで諦めちゃダメよ
忘れないで あなたの大好きな義姉が
海の向こうでいつだってあなたを応援してるわ
2週間前に届いた手紙でね ひとつ気づいたことがあったの
言葉の途中にあなた コンマを入れたでしょ
意味が変わっちゃうのに わざとやったの?
たったそれだけのことが 今は気になって仕方ないわ

ハミルトン、アンジェリカ:
「親愛なるアンジェリカ(my dearest Angelica)」

アンジェリカ:
そう書くところをあなたは 間にコンマを入れて
「最愛の人、アンジェリカ(my dearest, Angelica)」って
まあいいわ 本題はね
私 この夏はアメリカに帰ることにしたの
妹が誘ってくれたから
アップステートで あなたたち一家と一緒に過ごせるわ
あなたが忙しいのも 仕事がとても大事なのもわかってるけれど
私は海を渡って行くのよ とても待ち遠しいわ

ハミルトン、アンジェリカ:
海の向こうなんかじゃない
すぐそばにいられる…

イライザ:
アレクサンダー、降りてきて
今日アンジェリカが到着するのよ!


イライザ:
アンジェリカ!

アンジェリカ:
イライザ!

ハミルトン:
スカイラー姉妹だ!

アンジェリカ:
アレクサンダー

ハミルトン:
やあ

アンジェリカ:
会えて嬉しいわ

イライザ:
アンジェリカ この人に言ってあげて
あなたの夫のジョン・アダムズは 夏の休暇を家族と過ごすんだって

ハミルトン:
アンジェリカ 僕の妻に言ってあげてくれよ
君の夫のジョン・アダムズは 仕事らしい仕事をしてないんだって

アンジェリカ:
…まさか あなた来ないつもりなの?

ハミルトン:
残念ながら 一緒にアップステートには行けそうにない

アンジェリカ:
アレクサンダー、私ははるばる会いに来たのよ

イライザ:
遠いところを来てくれたのに──

アンジェリカ:
はるばる──

イライザ、アンジェリカ:
休暇をとりましょうよ

ハミルトン:
僕の案を議会に通さなくちゃならないんだ

イライザ、アンジェリカ:
夏のあいだ 一緒にゆっくり過ごしましょう
アップステートで

ハミルトン:
議会の承認を得られなきゃ 僕はこの職を失ってしまうよ

イライザ、アンジェリカ:
みんなで父の家に滞在できるわ

イライザ:
素敵な湖があるの
近くの公園に
二人で 一緒に行けるわ
休暇をとって ゆっくりしましょう

アンジェリカ:
あなたがいなきゃつまらないわ
勇気をしぼりだすのよ
イライザの言うとおりよ
少しは休まなきゃ
夏のあいだ 一緒にゆっくり過ごしましょう
アップステートで

イライザ:
アップステートで
一緒に過ごせるわ

アンジェリカ:
みんなで父の家に滞在できるわ
時間をかければ ちゃんと成功するわよ

イライザ:
ねえ見て
今を生きていることが どれほど恵まれているか

アンジェリカ:
目をつむって夢見るの
夜になったら

イライザ:
夜になったら二人で一緒に行けるわ

イライザ、アンジェリカ:
休暇をとりましょうよ

ハミルトン:
この政策を議会に通さなくちゃいけないんだ
議会の承認を得るまで 足を止めるわけにはいかないんだ

Hamilton - Cabinet Battle #1

ワシントン:
さて今宵、他のどこでもない
ここ ニューヨーク・シティにお集まりの皆様
キャビネット・ミーティングの時間がやって参りました!
今回の議題は ハミルトン長官の提案する、
債務を政府で引き受け 国立銀行を設立するという
金融政策についてです
ジェファーソン長官、発言をどうぞ

ジェファーソン:
「生命、自由及び幸福追求の権利」
我々はこの理想のために戦った 妥協していいものじゃない
これは未来を作らんとする者達による宣言だ
まあ驚くなよ これ書いたのじつは俺なんだ
おーっと
だがハミルトンは忘れてるらしい
奴さんは各邦の負債を政府で抱えようとしてるが
それで得するのは誰だか 賭けてみようか?
あいつ張本人に決まってる

ハミルトン:
そんなことはない!

ジェファーソン:
心当たりがあるんだろう
ニューヨークが抱えてる負債──
それをどうしてバージニアが背負い込む必要がある?
あー残念ながら 我々は返済完了しておりますので
南部には課税しないで頂きたいね こっちの苦労は終わってるんだ
バージニアで俺たちは種を蒔き 生産する
おたくはその金を動かしたいだけなんだろう
この経済政策は実にばかげたもんだし
こんな分厚くちゃ 誰にも理解できやしない
我らが自由の国を守るために どうか共に反対して頂きたい
ハミルトンが大統領になどならんよう願おうじゃないか
なあ 英国が紅茶に課税してきたとき 俺たちは大騒ぎしたんだぞ
お前が俺たちのウィスキーに税なんかかけたらどうなるか
わかってるんだろうな

ワシントン:
ありがとう ジェファーソン長官
では ハミルトン長官 それに対する応答をどうぞ

ハミルトン:
トーマス とても素敵な宣言をありがとう
現代へようこそ いま我々は理想じゃなく現実の国にいる
あんたは俺たちとともに国をまとめる気があるのか?
それともモンティチェロで好きなだけラリっていたいんじゃないかね
連邦政府として債務を引き受ければ 新たな信用供与が行える
経済を活発化させられるんだ それがどうしてわからない?
俺たちがアグレッシブに競争的に動くほど 連邦の活気につながるんだ
あんたは逆に鎮静剤を与えようとでもいうのか?
奴隷売買者からありがたい市政学の教えとは笑わせる
言っとくが あんたらの負債が完済してるのは 労働者の賃金が発生してないからだ
「南部で俺たちは種を蒔き 生産する」だと
よく言うぜ
その仕事を本当にやってるのは誰だかみんな知ってるぞ
あともひとつ言わせてもらうがな ミスター・啓蒙時代さんよ
独立戦争のことを その場で戦わなかったあんたが語るな
俺が少しでもあんたを恐れるとでも思うのか?
俺たちは塹壕でくたばりかけたんだ
その間 お前さんはフランス人とお楽しみだったんだろ
トーマス・ジェファーソンはいつも大統領に物怖じ
だんまり 何でも反対して投げやり
マディソン お前もキチガイ 薬をお貰い
お前らはこの国の負債よりもひどい状態
役立たずのクソどもめ
あっち向いてお辞儀したらどうだ
俺の靴のぴったりハマる場所を教えてやるよ

ワシントン:
なんてことを
マディソン、ジェファーソン 落ち着くんだ!
ハミルトン 頭を冷やせ!
少しの休憩を挟んで 再開したいと思います
ハミルトン!

ハミルトン:
はっ!

ワシントン:
話がある

マディソン:
お前には票が足りてない

ジェファーソン、マディソン:
票が足りてないぞ

ジェファーソン:
はは ざまあみろ!

ジェファーソン、マディソン:
議会の承認が必要なのに お前には票が足りてないんだ

ジェファーソン:
恥ずかしいね 一体なにを熱くなっちまったのか

マディソン:
なにを熱くなってたのかだって?


ワシントン:
少しは落ち着いたらどうだ

ハミルトン:
すみません でもバージニアの連中 どいつもこいつも

ワシントン:
君、私もバージニアの出身だぞ 口には気をつけたまえ

ハミルトン:
じゃあこのまま南部に議会の足止めを許すんですか?

ワシントン:
君は票を稼がなくてはいけないな

ハミルトン:
いや、私たちには大胆な手が必要なんだ
この政策を実現させなくてはいけないんです

ワシントン:
そうじゃない、君は周りを説得して賛成者を得るべきだよ

ハミルトン:
ジェームズ・マディソンは僕に口をきこうともしない
無理な話ですよ

ワシントン:
勝つのは容易かったんだ 国を治めるのは困難なものだ

ハミルトン:
連中は協力を拒むつもりだ

ワシントン:
妥協点を探るんだ

ハミルトン:
でもあいつらには何の政策もない ただ私の案を嫌ってるだけだ!

ワシントン:
なんとか説得して気を変えさせるしかない

ハミルトン:
私が議会の承認を得られなかったらどうなるんですか

ワシントン:
彼らは君の解任を求めてくるだろうな

ハミルトン:
閣下──

ワシントン:
道を探るんだ、アレクサンダー
これは上官命令だ

Hamilton - What'd I Miss

バー:
1789年
私生児の孤児
戦争で功績をあげた移民の元軍人
そんな男がどのように
破産状態の植民地をまとめ上げたのか?
降参するまで他の建国の父らと争ったのか?
全てを手に入れ、そして失う
続きを見る準備はできてるかい?
やつは財務長官 大統領はワシントン
新たな国での試みすべてが先例をつくる
だがちょっと待った 反対勢力たる人物がいたんだ
二大政党制ができるまでに 奴をイラつかせた
皆さんはまだ会ってないよ 登場してなかったから
彼はずっとフランスに大使として派遣されてた
でも誰かがアメリカの理想を守らなくちゃならないだろ
だからトーマスに会わなきゃ なあトーマス!

トーマス・ジェファーソンが帰ってくる!
トーマス・ジェファーソンが帰ってくる!
トーマス・ジェファーソンが帰ってくるんだ
ああ彼は 随分と長いことパリに行ってしまっていた!

ジェファーソン:
フランスは我々を追いかけるように革命へと向かっている
時代は変革のときだ
しかし陽はまた昇り 世界は回る
ラファイエットの人権宣言の下書きを手伝ってから
俺は言った「そろそろ行かなきゃ モンティチェロに帰るんだ」
いざ 故郷での仕事が始まるぞ…

それで 俺のいない間に何があったんだい?
一体 何があった?
バージニア、愛しの故郷よ 口づけを贈りたいね
パリで俺はたくさんのレディーたちと会ってきたよ
そんなわけで80年代後半のアメリカに疎いんだが
俺は世界を広く旅してきて 今はここに戻ってきたというわけ

帰るとデスクには大統領からの手紙が
俺はまだ鞄も降ろしてない
サリーよ 開封してくれるかい?
なるほど手紙によると 大統領は閣僚を集めてて
俺を国務長官にってことらしい よし!
上院議員の承認もおりてるってさ
家に帰ってきて早速 今度はニューヨークに向かうことになった

ニューヨークへ!

ジェファーソン:
通り過ぎる景色を横目に眺める
自由になったなんて信じられないな
ニューヨークで俺を待ち受けるものが何であれ
準備は万端だ

建物に入ると俺を待っていたのは
友人のジェームズ・マディソン 顔を真っ赤にしてる
俺の腕を掴んだ彼に
俺は「どうしたんだ?」と訊ねる

マディソン:
トーマス 我々はいま この国の根源となる魂のために戦っている
この泥沼からなんとか救い出してくれないか?
ハミルトンの経済政策は
もはや政府統制以外のなんでもない
私は南部のために一人で奮戦してるんだ
いったいどこに行っていた?

ジェファーソン:
えっと…フランスだけど

マディソン:
絶対に勝たなくてはいけないんだ

ジェファーソン:
それで 俺のいない間に何があったんだい?
一体 何があった?
しょっぱなから 政治的混沌へと突入だ
今日は最初の閣議に出席する
何か喋ること考えておかなくちゃいけないな
もう準備してるところ
さて問題の真相究明といこうか

ワシントン:
おかえり ジェファーソン君

ハミルトン:
ジェファーソンさん? アレクサンダー・ハミルトンです

ワシントン:
ジェファーソン君 よく帰ってきてくれた


ジェファーソンさん おかえりなさい
ああ 随分と長いことパリに行かれてましたね!

ジェファーソン:
それで 俺のいない間に何があった?

2016年10月1日土曜日

Hamilton - Non-Stop

バー:
戦争が終わり 私はニューヨークへと戻った

ハミルトン:
戦争が終わり 僕はニューヨークへと戻った

バー:
学業を修了し 法曹界で働き始めた

ハミルトン:
法曹界で働き バーもすぐ隣で肩を並べてた

バー:
スタートを切ったのは 同時期だったが
アレクサンダー・ハミルトンは見る見るうちに上り詰めて行く
なぜそんなことが出来たのかって?
そりゃもう あの男は

止まることを知らないんだ!

ハミルトン:
陪審員の皆さんに お訊ねしておきたい
我々がいま歴史の一歩を刻んでいることを お分かりですか?
これは新生した我らが合衆国における
初の殺人事件の裁判なのです
審議することの自由を──

アンサンブル:
ノンストップだ!

ハミルトン:
疑惑の影を超えて 証明してみせましょう
こちらの弁護士補佐の──

バー:
共同弁護士だ
ハミルトン、座りなさい
皆さん、被告人リヴァイ・ウィークスは無実です
一人目の証人を呼んでください
喋るのはこれだけでいいんだ!

ハミルトン:
分かったよ!
もう一点だけ──

バー:
どうして自分が一番賢いだなんて思えるんだ?
どうして自分が一番賢いだなんて思えるんだ?
どうして自分が一番賢いだなんて思えるんだ?
その傲慢はいずれその身を滅ぼすぞ!

どうしていつも時間に追われるように何か書いてるんだ?
日夜問わずいつだって時間に追われるように物を書いているんだ?
いくら時間があっても足りないみたいに お前は戦い続ける
戦い続けて そのかたわら──

ハミルトン:
汚職は我々みんなうんざりするほど幾度となく繰り返されてきた
そしてその横行する最たる場所がアルバニーだ
この植民地の経済は失活する一方
だからこそ 僕自らが公職につく必要性を感じる
僕は法曹界で経験と実績を積んできた
極めたと言っても過言じゃない
世界に悪を見つければ 正してきた
これからはそれを民主主義のために
それが無理なら ソクラテスになって
凡人どもへ言葉の石を投げてやる

バー:
ハミルトンがフィラデルフィア憲法制定会議に

ハミルトン:
この僕がフィラデルフィア憲法制定会議に

バー:
ニューヨーク邦の代議員として派遣された

ハミルトン:
さて これから言うことは不躾に思われるかもしれませんが…

バー:
彼の考える政府のあり方
新しい政府の構想を発表
6時間にもわたって喋り続けた!
代議員たちはへとへとだ!


頭の切れる若者だな…

おい、あいつ一体誰なんだよ?

バー:
どうしていつも自分の考えを口に出す?
どうしていつも自分の考えを口に出す?
お前のあげる声ひとつひとつが
敵にとっての武器になることもあるんだぞ!

どうしていつも焦るように何か書いているんだ?
日夜問わずいつだって焦るように物を書いているんだ?
いつも焦るように お前は戦い続ける
そのかたわらで


バー:
アレクサンダー?

ハミルトン:
アーロン・バーどの

バー:
こんな夜更けにどうしたんだ

ハミルトン:
少しお話しをしても?

バー:
法に関することか?

ハミルトン:
ええ、とても大事なことなんだ

バー:
何の用だい?

ハミルトン:
バー、君は僕よりも優れた弁護士だ

バー:
うん?

ハミルトン:
僕が喋りすぎて 人をイラつかせるのはわかってる
君の法廷での実力は素晴らしい 発言は簡潔で、説得力がある
僕のクライエントには強力な弁護人が必要なんだ
君しかいない

バー:
クライエントは誰なんだ?

ハミルトン:
新生アメリカ合衆国の憲法なんだけど

バー:
断る

ハミルトン:
聞いてくれ

バー:
無理だよ!

ハミルトン:
連作論文を匿名で発表するんだ
連邦憲法案の賛成意見を示し 州民に推進を訴える

バー:
そんなの誰も読まないだろう

ハミルトン:
僕はそうは思わない

バー:
失敗に終わったら?

ハミルトン:
そうさせないために必要なのさ

バー:
憲法はいま滅茶苦茶だ

ハミルトン:
だから修正箇条が必要なんだ

バー:
矛盾だらけだ

ハミルトン:
独立だってそうさ
いずれ誰かが始めなくちゃ

バー:
私はごめんだ 断る 

ハミルトン:
君は間違ってるよ

バー:
おやすみ

ハミルトン:
なあ
君は何を待ってるつもりだ?
何を躊躇っているんだ?

バー:
なに?

ハミルトン:
俺たちは戦争に勝った
それは何のためだった?
君はこの憲法を支持するのかい?

バー:
もちろんさ

ハミルトン:
なら弁護するんだ

バー:
私たちが間違っていたらどうする?

ハミルトン:
バー、俺たちは学び 戦い 人の命を奪った
それは全部 いま作り上げようとしている国のためだ
一度くらい 誇りを持って信念のために立ち上がったらどうだ
どうしてそこで遠慮して隠れようとするのか 僕には理解できないよ

バー:
私は自分の計画を 胸に抱えておく
慎重に待って 風向きを見極めるんだ
じっくりと 様子を見るつもりだ
生まれたばかりの国がどうなるか
その高まっていく緊張感を


アンジェリカ:
私はロンドンに行くわ
お金に困らない相手と一緒にね
裕福な夫を見つけたの
これから先 暮らしの心配をする必要はなさそう
けっして楽しい人じゃないけれど
どちらにしろ あなたほどに
言葉の応酬を出来る相手なんていないもの
大好きなアレクサンダー

ハミルトン:
アンジェリカ

アンジェリカ:
手紙を書いてね

イライザ:
ねえ見て
いま あなたのいる場所を
過去と比べてどれだけのものを得たか
あなたがこの時を生きているだけでも 奇跡のよう
ただ 生きていてくれれば それでいいの
そしてもし あなたの妻が
あなたの時間を少しでも共有できれば
あなたに安らぎを与えられれば
それで充分よね?

バー:
アレクサンダーはジェームズ・マディソン、ジョン・ジェイと協力して
合衆国憲法の批准を推進する連作論文を発表し
「ザ・フェデラリスト」としてまとめた
当初の計画では 合計25編の論文を3人で均等に分配するはずだった
しかし最終的に彼らは85編もの論文をたった6ヶ月の間に書き上げた
ジョン・ジェイは5編を書いた時点で病に倒れた
ジェームズ・マディソンは29編を書いた
そしてハミルトンは 残りの51編を書いた!

どうしていつも明日が来ないみたいに書き続けていられるんだ?
どうしていつも生きるために必要であるかのように書き続けていられるんだ?
どうして生きる時間を一秒も無駄にせず 物を書ける?
一瞬一瞬を? 余さず費やして?


ワシントン:
人々は私にこの国を導くよう要望してきた
今はできる限りのことをして
必要な人材をかき集めている
君には私の右腕となって欲しいんだ

ハミルトン:
財務か国務

ワシントン:
大変なことを頼んでいるのはわかっている

ハミルトン:
財務か国務

ワシントン:
未知の世界に飛び込む困難を…

ハミルトン:
閣下、私は財務と国務、どちらに携わればよろしいですか?

ワシントン:
財務を頼みたい

ハミルトン:
行きましょう


イライザ:
アレクサンダー…

ハミルトン:
行かなくちゃ

イライザ:
アレクサンダー

ハミルトン:
見てごらんよ
今この時代を生きていることが どんなに恵まれているか

イライザ:
私にはどうしようもないわ…

ハミルトン:
僕に この国を導いていって欲しいというんだ

イライザ:
ねえ見て
今は充分 幸せではないの?
どうすればあなたは満たされるの…

アンジェリカ:
彼は満たされることなんてないんだわ…

ワシントン:
歴史が君の行く末を見守っている…

バー:
どうして自分が一番賢いだなんて思えるんだ?
どうして自分が一番賢いだなんて思えるんだ?
どうして自分が一番賢いだなんて思えるんだ?
その傲慢はいずれその身を滅ぼすぞ!

どうしていつも時間に追われるように何か書いてるんだ?
日夜問わずいつだって時間に追われるように物を書いているんだ?
いくら時間があっても足りないみたいに お前は戦い続ける
戦い続ける まるで──


歴史が行く末を見守っている

ハミルトン:
このチャンスをふいにする気はない!


今に見ていて!


ハミルトン:
一発やってみるんだ!


今に見ていて!


ハミルトン:
僕はアレクサンダー・ハミルトン!


アレクサンダー・ハミルトン
ハミルトン、今にきっと…!


ハミルトン:
黙って大人しくしてるつもりはない!

Hamilton - Dear Theodosia

バー:
愛しいテオドシア 君に何て言えばいいだろう?
君は僕にそっくりの眼と お母さんの名前を貰ったね
この世界にやって来たとき 君は泣いていて
僕は胸が張り裂けそうだった
僕は毎日を 君のために費やしてる
家庭に尽くすようなタイプなんかじゃないと思ってたのに
君が笑うだけで 僕は崩れ落ちてしまいそうだ
僕は今まで 何でも知ってる気で生きてたんだよ

君はこの幼い国と一緒に 年をとっていく
僕らは君のために血を流し戦おう 君のために正していこう
僕らがきちんと礎を作ることができれば
君に手渡して 世界を君にあげる
そして 君は僕らを驚かせてくれるんだろう…
いずれ いつの日か
そう 君は僕らを驚かせるのさ
いずれ いつの日か

ハミルトン:
ああ フィリップ 君が微笑むと 僕はどうしようもなくなる
僕の息子
この子を見てくれよ 誇りなんて言葉じゃ表せない
今この胸にはもっと違う何かが溢れているんだ
ああ フィリップ 君の前では朝日だって霞んでしまう
君が笑うだけで 僕は打ち砕かれてしまうよ
今まで 何でも知ってる気で生きてたのに

僕は父を知らずに育った

バー:
僕は父を知らずに育った

ハミルトン:
僕は君のそばにいると誓うよ
君のために何だってする

バー:
数え切れないほど 間違いも犯すだろう

バー、ハミルトン:
君のために 平和な世界を作ってみせる…
君はこの幼い国と一緒に 年をとっていく
僕らは君のために血を流し戦おう 君のために正していこう
僕らがきちんと礎を作ることができれば
君に手渡して 世界を君にあげる
そして 君は僕らを驚かせてくれるんだろう…
いずれ いつの日か
そう 君は僕らを驚かせるのさ
いずれ いつの日か

Hamilton - What Comes Next?

英国王ジョージ三世:
民は この戦争の代償は払うに値しないなどという
ありえない
君がフランス人と通じ合ったおかげで
私は今度 フランスとスペインとも戦うはめになった
とってもブルーな気分だよ
君がこちらを発つとき 約束したはずだったろう
君は私のものだったのに
でも そうだね こうしてお別れはしたけれど
ひとつ君に訊いておきたいことがある

これからどうするんだい?
君は自由の身になったわけだけど
民を導くことがどれだけ難しいか分かってるの?

独り立ちしたわけだ
マジ サイコーだよね
これから何が起きるか分かってるの?

時に海原は荒れ 帝国は滅びる
自分で選んだ道ならなおさら辛いよ

ひとりぼっち 海の向こうで
君が民に嫌われたとき
泣いて戻ってきたって遅いんだからね

ダダダダダ…♪

君はこれから ひとりぼっちだ…

Hamilton - (Yorktown) The World Turned Upside Down

1781年 ヨークタウンの戦い

ラファイエット:
ムッシュー・ハミルトン!

ハミルトン:
ムッシュー・ラファイエット!

ラファイエット:
指揮を執るんだな 君に相応しい場所だ

ハミルトン:
何ていうんだっけ、ああ シンパイゴムヨウってね
ようやく戦場に立てた 長い道のりだったな

ラファイエット:
俺たち移民に

ハミルトン、ラファイエット:
あとはお任せあれ、だね

ハミルトン:
戦争に勝利したら君はどうするんだ?

ラファイエット:
フランスに戻るよ
叶うならば 祖国の人々にも自由をもたらしたいところだ

ハミルトン:
その時には俺たちも助太刀しよう

ラファイエット:
さあ、部下を率いて行きたまえ

ハミルトン:
向こう側で会おう

ラファイエット:
また会う時まで さあ行くぞ!

このチャンスをふいにする気はない!
一発かましてやるんだ!
俺達はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ
そして黙って大人しくしてるつもりはない!

ハミルトン:
この世界を変えてやるまで…

この世界が変わるまで!

ハミルトン:
これまで幾度となく死の瞬間を想像してきた 今では記憶のようにすら思える
今が その訪れなのだろう
地面を踏みしめ 敵を前方に捉えている
もしここで終わりだとしても 友が隣にいてくれるんだ
武器を手に 命令を胸に 部下とともに
そこでふと思い出す イライザが俺を待っていることを…
それどころか 彼女は身籠っているんだ
行かなくては すべて終わらせて
新たな国を始めるんだ そして我が子に会うんだ!
銃から弾を抜け!

アンサンブル:
何だって?

ハミルトン:
銃を空にしておくんだ!

アンサンブル:
何だって?

ハミルトン:
隠密行動を取るんだ 一丸となって進むぞ
闇夜にまぎれ 一発の弾に未来を賭ける
万が一にも 暴発で敵に気づかれるわけにはいかん
敵の懐に飛び込んで戦う チャンスを掴んで離さず行くぞ
失敗すれば命はない
合言葉は「ロシャンボー」だ 分かったか?

アンサンブル:
ロシャンボー!

ハミルトン:
命令の通りだ さあ 行くぞ!
そしてアメリカの試みが始まる
親友たちは各々 違う場所で活躍した
ローレンスはサウスカロライナで 勇猛果敢に戦う

ハミルトン、ローレンス:
奴隷制度を廃止するまで 真の自由は訪れないぞ!

ハミルトン:
なんとか英国軍を追い払うと
ラファイエットが待っている──

ハミルトン、ラファイエット:
チェサピーク湾で!

ハミルトン:
計画が成功するって なぜ分かってたかって?
スパイを送り込んでいたのさ そう

ヘラクレス・マリガン!

マリガン:
英国政府にスパイを働く 仕立て屋さ
服の寸法とりついでに 情報をいただき
こっそり兄弟の革命組織に流してたんだ
自由の息子達とともに活動してんだ 最高だね
アメリカのごろつきどもに喧嘩売るとどうなるか
これでよくわかったろ
このクソまみれの現状 誰かが片づけてやらねえと
ヘラクレス・マリガン 自己紹介はいらねえだろ
何べん倒されても また立ち上がって見せるぜ!

左向け! 右向け! 待て!
進め!


ハミルトン:
一週間 続いた戦いの後
赤いコートを着た若者が欄干に立った

ラファイエット:
男が必死に白いハンカチを振るのを見て
俺たちは銃口を下ろす

マリガン:
そうして、戦争は終わった
俺たちは負傷者を介抱し 死者を数える

ローレンス:
黒人兵も白人兵も同様に 呆然と考える
これで本当に 自由を手にしたと言えるのか

ワシントン:
いや、まだだ

ハミルトン:
我々は降伏条件の交渉を行う
ジョージ・ワシントンが微笑むのを見た
俺たちはヨークタウンから英国兵たちを送り出す
連中は一列縦隊でよろめくように帰っていった
何万もの人々が通りに溢れかえる
歓喜の声と 教会の鐘が鳴り響いた
そして 敗れた敵兵が退却していくなか
彼らの口ずさむ 酒場歌が聞こえてくる…

世界がひっくり返った…
世界がひっくり返った…
世界がひっくり返った…

ラファイエット:
アメリカに自由を! フランスに自由を!

ハミルトン:
新たな国を始めるんだ
そして我が子に会うんだ

マリガン:
勝ったぞ!

マリガン、ラファイエット、ローレンス:
勝ったぞ!

世界が変わったのだ!

Hamilton - History Has Its Eyes On You

ワシントン:
私が初めて部隊を率いたのは
君よりもっと若い頃だった
私の無謀な指揮は多くの部下を死へと追いやった
彼らが死にゆくのを この眼前で見届けたんだ
何もかもが間違った選択だった
心の底から自分の行いを恥じたさ
今ですら 眠れなくなることがある
私は知っているからだ

歴史が私の行く末を見守っていることを

私がまだ若く 栄光を夢見ていたあの頃に
分かっていたならと思うことがある
誰にも選ぶことは出来ないのだ

誰が生きのび 死にゆき
誰が後世へと語り継いでいくのかを

私はこの戦の勝利を確信している
君には偉大な素質があるのも分かっている
だが 覚えておくのだ これから先

歴史が君の行く末を見守っていることを

歴史は君の行く末を見守っている

Hamilton - Guns and Ships

バー:
ろくにシャワーも浴びれていない
落ちぶれた民兵の寄せ集めどもが
一体どうして世界一の超大国に勝てたのか?
我々はどのように泥沼から勝利を掴みとった?
どうして星条旗を高くかかげ 戦場から帰ってこれたと思う?
じつのところ、秘密兵器があったのさ!
皆の大好きな 恐れ知らずの移民
幾度となく英国軍の手をかいくぐり翻弄してきた
アメリカ中の人気者
勇猛なフランス男のご登場だ!

ラファイエット!

ラファイエット:
馬の手綱を見事にさばいて
敵軍の赤服を血でさらに染め上げてやる

ラファイエット!

ラファイエット:
俺は止まらない 獅子奮迅の勢いで
奴らを討取り焼燬し 屍山血河を築いてやるまでな
俺は

ラファイエット!

ラファイエット:
奴らと戦い 逃げ切り
挑発してやる! 俺こそ──

ラファイエット!

ラファイエット:
フランスに軍資金の援助を求めた俺は

ラファイエット!

ラファイエット:
それ以上のものを持ち帰る
銃に 戦艦
そして天秤は傾きを変える

ワシントン:
我々はロシャンボーと合流し
戦力を統合していく

ラファイエット:
ヨークタウンでこの戦争に決着をつけられるぞ
海上で奴らを叩くんだ だが
それを成功させるのに 必要な人間がいる

ワシントン:
わかっている

ハミルトンだ!

ラファイエット:
閣下、彼は戦い方を知ってる
独創直感に優れ フランス語も堪能だ つまり──

ハミルトンを!

ラファイエット:
閣下、いずれは彼の力が必要になるのです
控えに置いておいて何の得がある? つまり──

ハミルトンを!

ラファイエット:
あれほど打たれ強く また
俺の素晴らしい戦術に相応しい奴はいない──

ハミルトンだ!

ラファイエット:
国を取り戻したいのでしょう?

ワシントン:
私の副官を呼び戻す必要がある

ラファイエット:
そうです! あなたの右腕たる男を呼び戻すのだ
あいつが必要なことは分かっているはずだ
まあちょっと気を遣って手紙を書く必要があるだろうが
一刻も早く あの男を呼び戻すのです!

ワシントン:
アレクサンダー・ハミルトン
我々は戦場で君を待つ
ここで君が加勢してくれれば ともに形勢逆転ができるはずだ
ああ アレクサンダー・ハミルトン
君の指揮を待つ 兵士たちを用意した
ここでうまくやれば
敵は夜明けには降伏するだろう
世界を永遠に変えられるんだ、アレクサンダー…

Hamilton - That Would Be Enough

イライザ:
ねえ見て いまこの瞬間を生きていることが
どれだけ幸運か…

ハミルトン:
いつからわかっていたんだ?

イライザ:
ひと月と少し

ハミルトン:
イライザ、すぐ教えてくれたらよかったのに

イライザ:
ひと月前に、将軍宛に手紙を出したわ

ハミルトン:
まさか

イライザ:
あなたを家に帰して貰うよう頼んだのよ

ハミルトン:
僕に言ってくれるべきだったんだよ

イライザ:
後悔はしていないわ
戦争が終結するまで あなたが戦うつもりなのはわかっていた

ハミルトン:
戦争はまだ終わっていない

イライザ:
でも あなたは息子に会う資格があるでしょう
ねえ見て いまこの瞬間を生きているのが
どれだけ恵まれたことか

ハミルトン:
君を満足に養っていくこともできない
僕のような貧しい男の妻で 君は幸せだというのかい?

イライザ:
私はあなたの妻になれて幸せよ
ねえ見て…
いま あなたのいる場所を
過去と比べてどれだけのものを得たか
あなたがこの時を生きているだけでも 奇跡のようだわ
ただ 生きて帰ってくれれば それでいいの
そしてもし この子が
あなたの笑顔や 世界を驚かせるようなその心を
少しでも引き継いでくれれば
それで充分なの

あなたが挑もうとしている困難を
私が分かっているだなんて思わないわ
あなたの頭の中で 消しては創られるその世界を
でも 怖くなんてないの
そういう人と結ばれたのだとわかっているもの
ただ 一日の終わりにあなたがここに帰ってきてくれたら
それで充分なの

遺産なんていらないわ
お金なんてなくていい
ただ 私があなたに安らぎを与えられれば
あなたの心の中に 私を迎え入れて…

いつか あなたについて語られる物語の
その一部に私もなりたいの
この瞬間を 第一章にして欲しい
あなたが 生き残ろうと決意する
それで 私はいいの
私たちには それで充分よ
それで充分なの

Hamilton - Meet Me Inside

ハミルトン:
リー、降伏するか?

バー:
脇腹を撃たれたんだぞ!
降伏するに決まってるだろ!

ローレンス:
俺は満足したぞ

バー:
急げ、ずらかるぞ!

ハミルトン:
行け! 俺たちの勝ちだ


総司令官のおでましだ!


バー:
楽しい時間の始まりだぞ

ワシントン:
これはどういうことだ?
バー君、衛生兵を呼んでこい

バー:
はい、閣下

ワシントン:
リー、君は信じないだろうが
彼らは決して私の意思で動いたわけではない
務め ご苦労だった

バー:
行くぞ!

ワシントン:
ハミルトン!

ハミルトン:
はっ!

ワシントン:
部屋で話がある



ワシントン:
坊主

ハミルトン:
私は坊主じゃない

ワシントン:
ただでさえ厳しい戦況で
我々は内輪もめなどしている場合では──

ハミルトン:
リーが売った喧嘩を買ったまでだ

ワシントン:
そんなことをしたって何の解決にもならん
南部の同盟地への反感を強めるだけだ

ハミルトン:
その通りです
ジョンはあいつの口を撃ち抜いてやるべきだったんだ
そうすればこれ以上くだらない口を叩けなくしてやれた

ワシントン:
おい坊主──

ハミルトン:
私はあんたの子供じゃない──

ワシントン:
口に気をつけろ
私はお姫様じゃないんだ 他人から守られずとも自分の力でどうにかする

ハミルトン:
チャールズ・リーにトーマス・コンウェイ
あいつらはあなたの名を貶めやがったんだ

ワシントン:
私の名が今までどれだけの泥を被ってきたと思う 今さら気にもならん

ハミルトン:
ああそうだろう 私はあなたの名を持たない
あなたの地位も 土地も持ちはしない
だが、もしあなたが──

ワシントン:
ダメだ──

ハミルトン:
大隊の指揮を私に任せてくださったら
私に指揮権を与えてくれれば
私は惜しみなく戦果をあげて名声を得ることだってできるんだ

ワシントン:
それか死ぬこともある お前には生きていて貰わねばならんのだ

ハミルトン:
死ぬくらい本望だ──

ワシントン:
お前の妻はどうなる 坊主、私にはお前が──

ハミルトン:
俺をあんたのガキのように呼びつけるな──

ワシントン:
アレクサンダー、家に帰れ
これは上官としての命令だ

ハミルトン:
閣下──

ワシントン:
行きなさい

Hamilton - Ten Duel Commandments

1 2 3 4 5 6 7 8 9…

バー、ハミルトン、ローレンス、リー:
決闘の10の掟!

その1!

ローレンス:
決闘を申し込む
謝罪を要求した時点で 相手が謝るなら
それ以上の必要はない

その2!

ローレンス:
謝罪がなければ
介添人となる友人を確保する

ハミルトン:
場合によっては 代理人にもなる

その3!

リー:
介添人同士で顔合わせを

バー:
平和的解決を…

ハミルトン:
もしくは決闘の日時を交渉する

バー:
若い連中の場合 この時点で和解に至り
誰も撃たずに済むことが多い

その4!

ローレンス:
和解できないなら それでいい
拳銃を用意して 医者を呼べ

ハミルトン:
医者への報酬は事前に支払い
礼儀をもって接するように

バー:
関与を否定できるよう
決闘の際には後ろを向いていてもらう

その5!

リー:
決闘は日が昇る前に行う

死に場所を選べ 空気の乾いた高所が最適だ

その6!

ハミルトン:
身内への書き置きを残しておくように
居場所を伝えておいて
天国か地獄に迎え入れられることを祈れ

その7!

リー:
生前の罪を懺悔しておく
いよいよ決闘相手と顔を合わせ
アドレナリンの噴き出す その瞬間に備えて

その8!

ローレンス、リー、ハミルトン、バー:
交渉の最後のチャンスだ
介添人同士で 誤解をとけるか話し合う

バー:
アレクサンダー

ハミルトン:
アーロン・バーどの

バー:
決闘なんて大人気ないし くだらないと
君も思っているんだろう?

ハミルトン:
そりゃそうさ
だがな、バー あの男は自分の発言の責任を負うべきだ

バー:
自らの命でもってか? そんなばかげた話があるかね

ハミルトン:
ちょっと待てよ、リーの未熟でめちゃくちゃな指揮のせいで
どれだけの兵が死んだと?

バー:
なるほど、やるしかないみたいだな

その9!

ハミルトン:
相手の目を見て まっすぐ銃を構えろ
持てる勇気を振り絞って
カウントだ

1 2 3 4 5 6 7 8 9

その10!
かぞえたら

ハミルトン、バー:
撃て!

Hamilton - Stay Alive

イライザ:
死なないで…

ハミルトン:
あんなに気落ちした閣下を見たことがない
あの人の手紙は俺が代わりに書くようになった
大陸会議は「英国軍に攻撃を仕掛けろ」などと言ってくる
俺は反論する、我々は自軍の馬を食べるまでに困窮しているのだ
地域の商人たちは我々への商売も手助けも拒む
英国の金しか受け取らないんだ とにかく資金援助を求む

ワシントン:
援軍はこない

ハミルトン:
しかし、閣下!

ワシントン:
聞いてくれ、アレックス
我々が勝つには一つしか道はない
敵を徹底的に 挑発してやるんだ

ハミルトン:
それだ

ワシントン:
真っ向からは挑まず 夜襲をかける
敵が逃げ出すまで容赦なくやれ

ハミルトン:
どうしたって英国側に損失しか生まれないようにする

ワシントン:
逃げ切るんだ
より長引かせて
攻撃したら すぐに退却を
このどん底を抜け出すまで 生き残る
いずれにせよ大きな犠牲は避けられないだろう

ハミルトン、ローレンス、ラファイエット:
乾杯!

マリガン:
俺はニューヨークで 見習い修行に戻る

ラファイエット:
俺はフランスに援助を頼む
フランス軍が船を出してくれたことを祈ろう

ローレンス:
俺はハミルトンとともに活動を続け
奴隷制度に反対する論文を書く
毎日が 俺たちの友情と勇気への試練でもある

ハミルトン:
俺たちは敵の兵站線を断ち 禁制品を盗む
地の利をいかして戦場を選ぶ
「閣下、私に指揮権を」 と毎日のように頼むが
毎度

ワシントン:
だめだ

ハミルトン:
すげなく断られる

ハミルトン:
俺のかわりに チャールズ・リーが昇格した
閣下はあいつを副司令官に

リー:
やったー!!

ハミルトン:
賢明な人選とは思わないね
モンマスの戦いでビビった奴は とんだ失態をやらかした

ワシントン:
総員、突撃!

リー:
退却しろ!

ワシントン:
突撃だ!

リー:
退却だ!

ワシントン:
リー 一体何をやっている? 立て直せ!

リー:
だって敵があんなに かないっこない!

ワシントン:
私の命令が聞こえなかったのか!?
ハミルトン!

ハミルトン:
ここに、閣下!

ワシントン:
ラファイエットに指揮を任せろ!

ハミルトン:
了解しました!

ローレンス:
猛暑のなかで千人近くの兵が命を落とした

ラファイエット:
そうしてギリギリのところで敗北を免れた

ハミルトン:
すべてを無くしたチャールズ・リーは
誰彼かまわずこんなことを吹聴するようになった

リー:
ワシントンは無能で優柔不断
なんの危機にも対応できない男だ
この革命で奴が役立てることといえば
マウントバーノンに戻ってタバコの木でも植えるくらいさ

ワシントン:
放っておくんだ
いずれ歴史が奴の誤りを証明する

ハミルトン:
しかし、閣下!

ワシントン:
戦に集中しろ さあ行くぞ

ローレンス:
あのリーの野郎 誰か黙らせるべきだ

ハミルトン:
上官直々の命令があっては俺には逆らえん

ローレンス:
なら 俺がやろう
アレクサンダー 君が一番の親友だ

ハミルトン:
ローレンス、無駄撃ちはするなよ

Hamilton - Wait For It

バー:
テオドシアは毎日 私に手紙を書いてくれる
夫が不在中の彼女を 私は訪れる
彼女の夫はジョージアの英国軍に所属していて
植民地の反乱を抑えようとしている
ジョージアなんて好きなだけやるさ
テオドシアは私のものだ

愛は差別をしない
罪人であろうと聖人であろうと
ただ 一方的に奪い続ける
私たちはそれでも 愛することを止めないんだ
笑って 泣いて
壊して
間違いを犯す
だから 他の誰でもなく
私が彼女の側にいられることに
理由があるというのなら
私はその時を待つつもりだ
その時が来るのを 待つんだ

私の祖父は厳格な牧師だった
でも 説教や賛美歌じゃ学べないことだってある
母は天才だったし
父は世間から尊敬された
彼らは死ぬ時 何も教えなど残さなかった
ただ守るべき遺産だけ

死は差別をしない
罪人であろうと聖人であろうと
ただ 一方的に奪い続ける
私たちはそれでも 生きることを止めないんだ
昇って 落ちて
壊れて
間違いを犯す
だから 私を愛する人々が死んだのに
私がまだ生きていることに
理由があるというのなら
私はその時を待つつもりだ
その時が来るのを 待つんだ

待つんだ…

私は この人生で制御できるたった一つのものだ

待つんだ…

誰にも真似できない
唯一無二の存在だ

待つんだ…

私は出遅れているわけでも
置いていかれているのでもない

待つんだ…

立ち尽くしてるわけじゃない
機会を待っているのだから

待つんだ…

ハミルトンは終わりなく上り坂に挑もうとする

登る…

彼には証明したいものがあり
失うものは何もない

失う…

ハミルトンは容赦なく進み続ける
時間を無駄にしない

時間を…

彼のように生きるのは どんななのだろう

ハミルトンは躊躇をしない
自制なんかする素振りもなく
ただ 貪欲に求め 掴み続ける
そうして勝ってしまうんだ
勝負をひっくり返して
プレーして 掛け金を上げていく
勝ち残る者の少ない中で 彼が残り続けることに
理由があるというのなら、畜生
私はその時を待つつもりだ
その時が来るのを 待つんだ…

生は差別をしない
罪人であろうと聖人であろうと
ただ 一方的に奪い続ける
私たちはそれでも 生きることを止めないんだ
昇って 落ちて
壊れて
間違いを犯す
だから 多くの人々が死にゆく中で
私がまだ生きていることに
理由があるというのなら
私はその時を──

待つつもりだ…
その時が来るのを 待つんだ…

Hamilton - The Story of Tonight (Reprise)

ローレンス:
我々の勝利はこの目で見届けられないかもしれないが

マリガン、ラファイエット:
勝利は見届けられなくとも

ローレンス:
世の中の摩訶不思議はそれなりに見てきた

マリガン、ラファイエット:
まさに摩訶不思議

ローレンス:
だってあの雄猫が結婚できちまうんだから

マリガン、ラファイエット:
アレクサンダーが結婚できるってんなら

ローレンス:
俺たちにもまだまだ希望はあるってことじゃないか

ラファイエット:
自由に乾杯を!

ローレンス、マリガン:
おっと!
お前さんにはもう二度と縁のないもんだ

マリガン:
奥方がなんと言おうとな

ラファイエット:
もう一杯やろう!

ローレンス:
我ら4人に乾杯を!

マリガン:
金持ちの仲間入りをした仲間に!

ラファイエット:
今宵のことを語りついでいくよ

ラファイエット:
さあもう一杯──

ハミルトン:
おや、これはアーロン・バーどの

バー:
やあ!

ハミルトン:
来てくれるとは思わなかったよ

バー:
この目で確かめたくてね

マリガン、ラファイエット:
バー!

バー:
おめでとうを言いに来た

マリガン:
一節かましてくれよ!

バー:
お仲間が勢ぞろいしてるようだね

ラファイエット:
中でも一番ひでぇのがお前さ、バー!

ハミルトン:
連中は気にしなくていい 君こそ中佐になったんだってね おめでとう
僕もジョージの日誌をやっつけてるより 君の指揮下で動きたいものだ

バー:
心にもないことを

ハミルトン:
本気だよ

バー:
バカを言っちゃいけないよ
君に代わる人材はいないと聞いているぞ

ローレンス:
おやおや バー、君にも
特別な相手がいると俺は聞いてるぞ

ハミルトン:
そうなのかい?

ローレンス:
何を隠そうとしてるんだ バー?

バー:
そろそろお暇したほうがよさそうだ

ハミルトン:
いいや、消えるのはこの酔っ払いどもだな

ラファイエット:
何だって?

ローレンス:
ひでえ!

ハミルトン:
ほら 邪魔するなよ!

マリガン:
ちぇー

ハミルトン:
気にしないでくれ バー
君の特別な相手も 一緒に連れてきてくれたらよかったのに

バー:
残念ながら 法に反するものでね

ハミルトン:
どういうことだい?

バー:
既婚者なんだ

ハミルトン:
なるほど

バー:
英国軍人の妻なんだよ

ハミルトン:
そいつぁまた…

バー:
おめでとう アレクサンダー
君はもっと微笑むといい
戦争が終わったらまた会おう

ハミルトン:
僕には 君がわからないよ
その人を愛しているなら 手に入れてしまえばいいんだ!
何を待つ必要がある?

バー:
戦争が終結したらまた会おう

ハミルトン:
ああ 戦争が終わったら また

Hamilton - Satisfied

ローレンス:
いいねえ、盛り上がってきたじゃないか!
よし じゃあここでメイドオブオナーの
アンジェリカ・スカイラーから一言!

アンジェリカ:
花婿に乾杯!
花嫁に乾杯!
あなたたちの姉から
私はいつでもあなたたちの味方よ
二人の結婚を
そして先にもたらす希望を祝して
二人がこの先ずっと
満ち足りていますよう…


巻き戻し…巻き戻し…
どうしようもなく…
溺れそう…溺れそう…
巻き戻し…


アンジェリカ:
あの夜のことをよく覚えているわ
私はこの先ずっと あの夜のことを後悔し続けるのかもしれない
若い軍人たちが 私たちの気を引こうと頑張っていたのを覚えてる
あの幻想的なキャンドルの灯り
うまく思い出せない夢のような
でもね アレクサンダー
初めてあなたの顔を見た時のことを
私は一生忘れないわ

世界が永遠に変わったの
知的な眼 見てるだけで胸が苦しくなるような体つき
あなたに声をかけられた瞬間 自分の名前すら忘れてしまったわ
私の心に火をつけた 全身が燃えるように熱くなった

遊びじゃない…

ハミルトン:
ねえ君は 人生で一度も満足したことがないんじゃないかな

アンジェリカ:
何を言ってるのか 見当もつかないわね

ハミルトン:
君は僕と似ているよ
僕も容易に満足なんてできないんだ

アンジェリカ:
そうなの?

ハミルトン:
今まで生きていて 満たされたことなんてない

アンジェリカ:
私はアンジェリカ・スカイラー

ハミルトン:
アレクサンダー・ハミルトンだ

アンジェリカ:
あなた ご家族はどちらの出身?

ハミルトン:
そんなのはどうでもいいことだ
僕はまだ何も成し遂げていないけれど
今にきっと やってみせる

アンジェリカ:
ああ そうなのね──
これが 同じレベルの人と知性を量りあうってこと!
こんな都合のいい話があるのかしら?
解き放たれる感覚 光を見つけたみたいな
鍵と凧を手にしたベン・フランクリンって感じよ
言ってる意味わかるでしょ?
話したのは2分か3分か
何から何まで話が合うの
夢みたい お互いちょっとからかいあって
ちょっと気取って 互いの意見を主張する
彼 遊び慣れてる感じもするけど
悪くないわ
家族について訊ねたら ねえ彼の返事聞いた?
気まずそうな手の動きに 避けるみたいな態度
無一文ね その身ひとつで勝負してるのよ
とんでもなくハンサム
ヒゲも生やせないような若々しさ
このまま彼を遠くに連れ去りたい
でも振り返って妹の顔を見たら あの子──

イライザ:
どうしようもなく…

アンジェリカ:
わかってしまったわ 彼女は

イライザ:
夢中なの…

アンジェリカ:
あの子の眼を見れば

イライザ:
どうしようもないわ…

アンジェリカ:
そして私は同時に気づいてしまった
3つの真理に

ハミルトン:
どこへ連れて行くつもりだい?

アンジェリカ:
あなたの人生を変えてあげる

ハミルトン:
そういうことなら 全てお任せしよう

その1!

アンジェリカ:
私の出自では 人生における唯一最大の役目は
資産家と結婚すること
父は息子に恵まれなかったから
私が相応な相手を見つけなければいけないの
姉妹では私が一番の年長で 聡明だし
ニューヨークのゴシップは陰険だから
それにアレクサンダーは無一文で
だからって彼に惹かれる気持ちが
少しでも減るわけもないのだけれど!

イライザ:
エリザベス・スカイラーです
お会いできて光栄ですわ

ハミルトン:
スカイラー?

アンジェリカ:
私の妹よ

その2!

アンジェリカ:
彼が私に近づいたのは 私がスカイラー家の娘で
結婚すれば ステータスを得られるからだわ
それを無視できるほど 私もナイーヴにはなれない
だからかもしれない 彼にイライザを紹介したのは
そして妹は彼の花嫁に
バカなことをしたわね アンジェリカ
彼は正しかった
私はこの先 満たされることなんてないんだわ

イライザ:
国のために戦って頂いてありがとうございます

ハミルトン:
戦争に出ることであなたと出会えたのなら
その甲斐はありました

アンジェリカ:
あとはごゆっくりどうぞ

その3!

アンジェリカ:
妹のことは私 自分のことのようにわかるの
あんなに優しくて 誠実な子は他にいない
私が彼への想いを打ち明けたら
あの子は黙って諦めてしまうわ
そして私は彼を手に入れて
あの子は「いいのよ」って
嘘をつくのでしょう

ただ 夜になって思い出すのは
彼のあの瞳
もしも私が あんなふうにすぐ
彼のことを見限らなければと空想する
でも少なくとも
イライザが彼の妻になってくれれば
私はまだ 彼の瞳を見つめ続けることができる…

花婿に乾杯!
花嫁に乾杯!
あなたたちの姉から
私はいつでもあなたたちの味方よ
二人の結婚を
そして先にもたらす希望を祝して
二人がこの先ずっと
満ち足りていますよう…

わかっているの
あの子は 彼の花嫁として幸せになれるわ
そして 知っている
彼は 満足を知らない人
私はこの先 満たされることなんてないんだわ

Hamilton - Helpless

イライザ:
ああ 誓うわ
ねえ あなたに私
どうしようもなく夢中なの!
あなたの眼を見つめるだけで
何でもできる気がする
どうしようもなく夢中よ!
ノックアウトされちゃって
その瞳に溺れそう

私これまでずっと
人の注目を浴びたがるようなタイプじゃなかったのよ
革命軍人さんたちと騒いでいたパーティの夜
姉がみんなを魅了するのを笑って眺めてた
そしたらあなたがやってきて 私のハートが「ドキ!」って鳴ったの
広間の反対側から どうにかあなたの目を引きたかった
みんな踊って 音楽も最高に盛り上がってる
お酒と食事を楽しみながら リズムに合わせて体を揺らして
姉をつかまえて「ねえあの人、とらないでね」って囁いたわ

姉はあなたの方へ歩いて行って
私は「何するつもり?」って気が気じゃなかった
姉があなたの腕を掴んだとき
「終わりだわ」って思ったの
すると あなたが私を見返して
そしたらもう どうしようもなかった!

あなたの眼を見つめるだけで
何でもできる気がする
どうしようもなく夢中よ!
ノックアウトされちゃって
その瞳に溺れそう

あなたに夢中なの
本当に夢中よ

ノックアウトされちゃったわ
その瞳に溺れるしかない


ハミルトン:
どこへ連れて行くつもりだい?

アンジェリカ:
あなたの人生を変えてあげる

ハミルトン:
そういうことなら 全てお任せしよう

イライザ:
エリザベス・スカイラーです
お会いできて光栄ですわ

ハミルトン:
スカイラー?

アンジェリカ:
私の妹よ

イライザ:
国のために戦って頂いてありがとうございます

ハミルトン:
戦争に出ることであなたと出会えたのなら
その甲斐はありました

アンジェリカ:
あとはごゆっくりどうぞ


イライザ:
一週間後 私は毎晩のように手紙を書いてる
あなたから手紙が届くたびに
私の人生はより素晴らしくなるわ
姉がハレムを作ろうなんて言うから笑っちゃった

アンジェリカ:
だって、私のことを本当に愛してるなら
シェアしてくれてもいいでしょ

イライザ:
冗談!
二週間後 リビングでソワソワしてる
しかつめらしい顔の父に
あなたは許しを請おうとしてる
お酒を飲んで食事する間も
内心 気が気じゃなかったわ
泣きそうになるのを我慢する
だって あなたに出来ないことなんて
ないはずなんだもの
父があなたの元に向かって
一瞬「もうダメかも」って思ったわ
すると父はあなたと握手して
「誠実であるように」って
あなたは笑顔で私のほうを振りむいて
そしたらもう どうしようもなかった!

あなたの眼を見つめるだけで
何でもできる気がする
どうしようもなく夢中よ!
ノックアウトされちゃって
その瞳に溺れそう

彼は私のもの
私の愛する人なの!

あなたの眼を見つめるだけで
何でもできる気がする
どうしようもなく夢中よ!
ノックアウトされちゃって
その瞳に溺れそう

ハミルトン:
イライザ、僕にはなんの財力もない
土地も 地位も 名声だって持っちゃいないよ
あるのはただ 名誉と 苦痛への耐性に
ちょっとした学位と 最高の頭脳
夢みたいだ 君の家族は僕の新しい側面を引き出してくれる
ペギーは僕と仲良くしてくれるし
アンジェリカは僕を味見しようとしてる
安心して、僕の君への愛は絶対だよ
ハーレムに小さな家を買って 一緒に暮らそう
僕は子供の頃から 家族がいなかった
父に捨てられ 母が死んで ひどい育ち方をしたよ
でも あの母の顔を忘れることはないだろう
あれは幻なんかじゃなかった
イライザ 僕の命がある限り
誓うよ 二度と君がつらい思いをすることはない


ああ 誓うわ
ねえ あなたに私
どうしようもなく夢中なの!
あなたの眼を見つめるだけで
何でもできる気がする
どうしようもなく夢中よ!
ノックアウトされちゃって
その瞳に溺れそう

ハミルトン:
イライザがいてくれれば
僕はもう大丈夫

女性たち:
ニューヨークで新たな人生を
ニューヨークで新たな人生を
ニューヨークで新たな人生を…

イライザ:
どうしようもなく夢中よ…

Hamilton - A Winter's Ball

バー:
私生児の孤児で、淫女の息子
そんな男がどうして
めきめき頭角を現していくんだ?
この不快で傲慢な、口うるさい厄介者が
アメリカの父たる人物の右腕に収まった
ワシントンは出会うやいなやハミルトンを雇いたがったが
ハミルトンはそれよりも前線で戦いたいなどとのたまう
奴の物書きの腕は確かに凄いものだが
私と奴には共通点がある
というのも俺たちは大好評だからな

男たち:
レディーたちに!

バー:
花散る前の乙女たちよ!

男たち:
レディーたち!

バー:
このルックス! 権力への近さ

男たち:
レディーたち!

バー:
彼女たちはハミルトンを喜ばせた
マーサ・ワシントンは凶暴な雄猫の名前を
奴にちなんでつけたくらいだ

ハミルトン:
それは事実だね!


全員:
1780年

バー:
冬の舞踏会
誰もが羨むはスカイラー三姉妹
なあ、あの一人とでも結婚できれば
大金持ちだぞ

ハミルトン:
バー、それは 僕にできるのかって訊いてるの
それとも どの娘にするかって話?

ハミルトン、バー、ローレンス:
やあ
やあ
やあ

Hamilton - Right Hand Man


英国海軍のハウ提督が戦隊を配置した
3万2千もの兵が ニューヨーク港を攻めてきた
ニューヨーク港に 3万2千もの敵
彼らに囲まれてしまった時!

ハミルトン:
カリブ地方で育った幼少期 俺は戦火を望んでいた
自分が貧しいことは分かってた
それしか道はないと知っていた──

ハミルトン、バー、マリガン、ローレンス、ラファイエット:
這い上がる!

ハミルトン:
いつか俺のことが語られるとき
俺はこの戦場で燃え尽き息絶えるか──

ハミルトン、バー、マリガン、ローレンス、ラファイエット:
勝ち進む!

ハミルトン:
俺はこの大陸のために戦おう
だが それを指揮できる男は一人しかいない
俺たちを導き──

ハミルトン、バー、マリガン、ローレンス、ラファイエット:
逆転する!

ハミルトン:
分かるだろう? 唯一の道だ

ハミルトン、バー、マリガン、ローレンス、ラファイエット:
立ち上がる! 這い上がる!

ハミルトン:
さあ いらしたぞ!

アンサンブル:
総司令官のお出ましだ!

バー:
紳士淑女の皆さま!
待ち望んだ瞬間がやって参りました!
マウントバーノンの誇り!
ジョージ・ワシントン!

ワシントン:
我々の火器は少なく
人員も足りていない
総数では敵に及ばず
万策尽きている
持てる全てをかけて挑むしかないのだ
私に必要なのは その右腕となる者だ

よし
少しだけ素に戻ってもいいだろうか?
ほんの一瞬でも?
無防備に この心の本音を打ち明けても許されるか?
私は現代の軍司令官の模範とされている
敬慕される バージニアの老兵だ
部下たちは皆 私を台座に乗せようとして
私の品性を 雄弁さを称える手紙をしたためては
知人友人に送っている
だが誰も口にしようとしない現実がある
誰の目にも明らかなことだ
英国軍の大砲が鳴り響くとき…

アンサンブル:
ドカーン!

ワシントン:
逃げ出すほかに出来ることはない
指揮下の者達が次々と退却していくなか
私は一体どうやって皆を導けばいいのだ?
ブルックリンが英国の手に陥落するなか
流れる血をどう止められる
ナイトがルークを取る、だが見ろ

我々の火器は少なく
人員も足りていない
総数では敵に及ばず
万策尽きている
持てる全てをかけて挑むしかないのだ
私に必要なのは その右腕となる者だ
砲撃が来るぞ!

ハミルトン:
バッテリー・パークがやられた
被害状況を確認しろ
奴らを足止めして不利に追い込むんだ
神に与えられた根気で踏ん張れ
ハミルトンは船を捨てないぞ
おい、奴らの大砲を分捕ってやれ──

マリガン:
ドカーン!

ワシントン:
砲撃が鳴り響く
血肉をまき散らして…

全員:
ドカーン!

ワシントン:
砲撃が鳴り響き
我々はキップス・ベイを手放す…

全員:
ドカーン!

ワシントン:
船がまた一艘…

全員:
ドカーン!

ワシントン:
我々は南端を奪われた…

全員:
ドカーン!

ワシントン:
急いでハーレムに逃げるんだ
これ以上の失敗はゆるされない
銃と馬を さあ行くぞ
私は戦力を二分することにした
街を裂き迫る英国軍に 我が軍はすっかり物怖じしている
もはや降伏寸前の怯えよう
私はこの反乱を目にして怒鳴りつける
これがアメリカを共に守ろうとしている者達なのか?
我々は深夜に行軍する 遠くマンハッタンを尻目に
この身はひとつしかないのだぞ
私には至急 補佐官が必要だ…

バー:
総司令官閣下、失礼致します!

ワシントン:
君は?

バー:
アーロン・バーであります、閣下
発言をお許し頂けますでしょうか?

ワシントン:
言いたまえ

バー:
閣下
私は以前モンゴメリ将軍の元におりました
とはいえ 将軍がケベックで
首に被弾されるまでのことでしたが
つまり、申し上げたいのは
閣下のお力になれることがあるのではないかと
遠方から英国軍に攻撃を続ける
閣下の手腕 感服いたします

ワシントン:
そうかね

バー:
閣下にいくつかご質問 かねてはご進言したいのです
西に逃げ続けるのではなく 戦う手段を

ワシントン:
ほう?

バー:
つまり──

ハミルトン:
総司令官閣下、お呼びでしょうか?

ワシントン:
ハミルトン、入ってくれたまえ
バーには会っているか?

ハミルトン:
ええ、はい

ハミルトン、バー:
縁があるようで

バー:
申し上げていました通り
閣下のお手並み これからも楽しみにしております

ワシントン:
バー?

バー:
はい、閣下?

ワシントン:
ドアを閉めて行ってくれるか


ハミルトン:
閣下、私は何かお怒りを買うような真似を致しましたか?

ワシントン:
いや、その逆だ
私が君を呼んだのは 我々の勝算がいま絶望的ともいえるためでね
君の評判は前から耳にしていた
おかしなことだ

ハミルトン:
どういうことですか?

ワシントン:
ハミルトン、なぜ君は誰の参謀にもつかないんだ?

ハミルトン:
閣下!

ワシントン:
誤解しないでくれ、君は若さに似合わず高い名声を得ている
君が英国軍の大砲を強奪せしめたのは聞き及んでいるよ
ナサニエル・グリーンもヘンリー・ノックスも
君を部下にと望んでいた…

ハミルトン:
秘書官としてですか? 冗談じゃない

ワシントン:
どうして機嫌を損ねる?

ハミルトン:
私は別に──

ワシントン:
いいのだよ 前線で戦いたいという ハングリー精神を君は持っている
私も若い頃はそうだった
殉教者のように死ぬことに憧れを抱く

ハミルトン:
当然です

ワシントン:
だがな、死ぬのは容易いぞ 生きることこそが困難なのだ

ハミルトン:
なぜ私にそのようなお話を?

ワシントン:
正直に言おう
私は今 大陸会議の約束した戦力の
3割しか手元にない状態で戦っている
我々はさながら引火寸前の弾薬庫だ
私には負担を軽くしてくれる人間が必要なのだ
どうだ?

ハミルトン以外のカンパニー:
このチャンスをふいにする気はない!
一発やってみるんだ!
俺はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ

ハミルトン:
そしてこのチャンスをふいにする気はない!

ワシントン:
我々の火器は少なく
人員も足りていない!

ハミルトン:
人員をかき集めるべきだ
幾つか伝手があります
ローレンス、マリガン、ラファイエット侯爵
よし、他には?

ワシントン:
総数では敵に及ばず
万策尽きている!

ハミルトン:
我々にはスパイが必要です
王臣からうまく情報を引き出せそうな人間が
大陸会議には可能な限りの物資を要求するよう
手紙を出しましょう
あなたは陣営を調えてください
敵を驚かせる戦術が必要だ
のし上がってやろう
閣下は情報を整理してください
新たな国を起ち上げるため
立ち上がるその時に向けて!


アンサンブル:
総司令官のお出ましだ!

ハミルトン:
立ち上がれ!

アンサンブル:
総司令官のお出ましだ!

ハミルトン:
のし上がれ!

アンサンブル:
総司令官のお出ましだ!

ハミルトン:
起ち上がれ!

アンサンブル:
総司令官のお出ましだ!

ワシントン:
そして、その右腕となる男が!

Hamilton - You'll Be Back

英国王ジョージ三世:
君は 私の愛への代償を払いたくないと言うのだね
君は 私へのあてつけに海へ捨てる紅茶に 涙をこぼすのだね
何が不満なの?
君がこちらを発つとき 約束したのを忘れないで
私だって怒ってしまうよ
そりゃ仲たがいもしたけれど 忘れないで
私と君は 運命で結ばれているのだから

君は私のもとに戻ってくる すぐにわかるさ
君が私のものだということを思い出す
すぐに戻ってくる じきにわかることだ
私がどれだけ君のために尽くしてきたか

時に海原は荒れ 帝国は滅びる
それでもともに乗り越えてきたじゃないか
そしていざ その時が来れば
私はこの愛の証に
完全武装した大隊を君に差し向けるよ

ダダダダダ…♪

君は もう私たちの愛は冷めきって
やっていけないだなんて言うけれど
私を失った時に 不満を言うのは君のほうだよ
それに 話題をすり替えないで!
だって君は 私の一番寵愛するしもべなんだから
可愛い 従順な君
忠実な 王のためのしもべ
永遠に これからもずっと ずっと ずっと…

君は私のもとに戻ってくる これまでもそうだったように
私は戦い 勝利してみせよう
君への愛のために 君からの称賛のために
そして死ぬまで君を 愛してあげる
君がいなくなったら 私は発狂してしまうよ
だから僕らの間にあるものを 捨てようとなんてしないで
そしていざ その時が来れば
私はこの愛の証に
君の家族友人 皆殺しにしてあげるよ

ダダダダダ…♪

Hamilton - Farmer Refuted

シーバリー:
皆さん どうかお聴きください!
私サミュエル・シーバリーは
「大陸会議の措置に関する所見」
を発表させて頂きます!
革命だなどと叫ぶ下層庶民に
耳を傾ける必要などないのです…

マリガン:
マジかよ オイあんな奴やっちまえ

シーバリー:
混乱と流血は何の解決にもなりません
どうか彼らに惑わされないよう
私は大陸会議の意見には反対だ

バー:
放っておきなさい

シーバリー:
彼らは何とも無謀で危険な賭けに出ている
私は英国王が慈悲を与えて下さることを祈ります
彼らの恥ずべき行いに…

ハミルトン:
おい!

シーバリー:
革命だなどと叫ぶ下層庶民に
耳を傾ける必要などないのです…

ハミルトン:
いずれ叫び声を聞いて知ることになるだろうが
革命は起きようとしていて
下層庶民こそが勝つんだ
まったく お前の言ってること噴飯ものだぜ

シーバリー:
混乱と流血は何の解決にもなりません
どうか彼らに惑わされないよう

ハミルトン:
混乱も流血もすでに不可避だ
お前さんは黙ったほうがいい
ボストンを見てみろ
我々がどれだけのものを失ったか
それなのにあんたは 大陸会議に意見するだって!?

シーバリー:
私は大陸会議の意見には反対だ

ハミルトン:
うちの犬のほうが お前よりまだ口達者だぞ!

シーバリー:
彼らは何とも無謀で危険な賭けに出ている

ハミルトン:
まあ毛の抜け具合では 犬ともいい勝負のようだが

シーバリー:
私は英国王が慈悲を与えて下さることを祈ります

ハミルトン:
なんだ、王はジャージーにでも来てるのか?

シーバリー:
彼らの恥ずべき行いに…

ハミルトン:
革命に!

シーバリー:
恥ずべき行いに!

全員:
革命だ!

シーバリー:
革命──

ハミルトン:
お前がまた繰り返すつもりなら

シーバリー:
叫ぶ──

ハミルトン:
おい こっち見たらどうだ 棒読みをやめろよ

シーバリー:
耳を傾ける必要などない──

ハミルトン:
おい 逃げずにこっちを見やがれ
どうして海向こうの ちっぽけな島国に
紅茶の値段を決められなきゃならん?

バー:
アレクサンダー、止めたまえよ!

ハミルトン:
バー、俺は優柔不断になるくらいなら
火種になるほうを選ぶよ
良い子ぶるのはやめだ

アンサンブル:
静粛に! 王からのお言葉であるぞ!

Hamilton - The Schuyler Sisters

バー:
金持ち連中が大好きなのは
ダウンタウンで平民とお戯れになること
馬車で乗り付けて 眺めるのさ
貧乏学生のお喋りを
例えばフィリップ・スカイラー
奴さんも大金持ちだが
おっと どうやらご存知ないみたいだ
娘のペギー、アンジェリカとイライザが
街にお忍びでやって来ては
眺めてるのさ 男どもの活動を

アンジェリカ:
アンジェリカ!

イライザ:
イライザ!

ペギー:
と、ペギー!

スカイラー三姉妹

ペギー:
パパは日が暮れるまでに帰るようにって言ってたわ

アンジェリカ:
言わなきゃバレないわよ

ペギー:
パパはダウンタウンに行っちゃダメって言ってた

イライザ:
言ったでしょ、行きたきゃ好きにすればいいの

アンジェリカ:
でも ねえほら 見てみなさいよ
革命が起きようとしてるのよ ここニューヨークで

イライザ、ペギー:
ニューヨークで


ペギー:
パパが戦争に行こうとしてるってだけでも嫌なのに

イライザ:
人々が広場で声を上げているわ

ペギー:
この海岸線で戦闘が起きるなんて嫌よ

アンジェリカ:
新たな思想が生まれていく
ねえほら 見てみなさいよ

イライザ:
ねえアンジェリカ 私たち何を探しに来てるんだっけ

男たち:
そりゃ 俺のことをさ!

アンジェリカ:
私が求めてるのは
心の躍動!


バー:
いやあ 夏のニューヨークときたら
急いでるとこに 美しい人と出会った
失礼お嬢さん 馬鹿げたことを言うようだが
その香水 ずいぶんと高そうな香りだ
こんな街中で 上等なハイヒールを履いて
理想の男でも探してるのかい?

アンジェリカ:
バー、あなたに用はないわ

バー:
おや 私をご存知で
有望な信託資金ですよ 是非オススメするね!

アンジェリカ:
私ね トマス・ペインの「コモン・センス」を読んでるの
だから男たちは私のこと 女のくせにキツいとか頭がおかしいとかいうけど
革命をお望みですって? 私が求めてるのは開示よ
だからこの宣言をお聞きなさいな

イライザ、アンジェリカ、ペギー:
「われわれは、自明の真理として、すべての人(MEN)は平等に造られていると信じる」

アンジェリカ:
私がトーマス・ジェファーソンに会ったら
そこに 女(WOMEN)を加えるように言ってやるわ!

イライザ:
ねえほら 見てみなさいよ
今この時代を生きていることが どんなに恵まれているか

イライザ、アンジェリカ、ペギー:
マンハッタンでは今まさに 歴史が変わろうとしている
そして私たちはこの街で 最高の瞬間に立ち会おうとしている!

Hamilton - The Story of Tonight

ハミルトン:
たとえ我々の勝利をこの目で見届けられなくとも!

ラファイエット、マリガン、ローレンス:
たとえ勝利をこの目で見届けられなくとも!

ハミルトン:
喜んで戦いに加わろう!

ラファイエット、マリガン、ローレンス:
喜んで加わろう!

ハミルトン:
そしていつか 子供達が我々のことを語る日がくれば

ラファイエット、マリガン、ローレンス:
子供達が我々のことを語るとき

ハミルトン:
今宵のことを語るだろう

マリガン:
もう一杯いこうか

ラファイエット:
もう一杯やろう

ハミルトン:
ああ もう一杯やろう

ローレンス:
自由に乾杯を
誰にも決して奪えないものだ
誰がなんと言おうともな
我ら4人に乾杯を

ローレンス、マリガン:
明日にはさらに同胞が増えることだろう

ラファイエット、マリガン、ローレンス:
今宵のことを語りあう

ハミルトン:
今宵のことが語りつがれるだろう


自由に乾杯を
誰にも決して奪えないものだ
誰がなんと言おうともな
もう一杯やろう

我ら4人に乾杯を
明日にはさらに同胞が増えることだろう
今宵のことを語りあいながら
もう一杯やろう

今宵のことが語りつがれるだろう

Hamilton - My Shot

ハミルトン:
僕はこのチャンスをふいにする気はない!
一発やってみるんだ!
僕はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ
そして黙って大人しくしてるつもりはない!
僕はキングスカレッジで奨学金を受けてる
自慢はいけないかもしれないけど
そりゃもう 凄い才能で皆を驚かせる
問題は 頭脳はあっても洗練されてないってこと
この声を聴いてもらうためには
叫ばなくちゃならないんだ
一言一句 知識をひけらかしてさ
僕はダイアモンドの原石 光り輝く石炭だ
ゴールを掴むために突き進む
発言力にゃ 非の打ちどころがない
まだ19だが 中身はずっと大人さ
ニューヨークの街は冷たさを増していくけど
どんな苦痛も 不利も背負ってみせる
振り回す銃も持っちゃいないが それでやってきた
飢餓を抱えたまま街中を歩く
この火花を煽って 大火へと燃え上がらせてやるんだ
とはいえいい加減 暗くなってきたから
ここでひとつ名前をつづっておこう
僕は

ハミルトン、ラファイエット、マリガン、ローレンス:
A-L-E-X-A-N-D
E-R 僕らの目指すべきは

ハミルトン:
植民地の独立
今この時も 英国は際限なく俺たちをコケにしやがる
うちから容赦なく税を取り立てておいて
あっちじゃ巨額の出費をしてる
この先も俺たちを支配下から逃がすつもりはないんだろうから
今世紀のうちに革命が起こるのは間違いない
ここで 俺の登場!

ラファイエット、マリガン、ローレンス:
(と、彼は括弧内にト書き)

ハミルトン:
歴史の本に俺が登場しても驚くことはない
自由を勝ち取るためなら この命をかけてもいい
じきに 天下を取るのをお目にかけてやる

このチャンスをふいにする気はない!
一発やってみるんだ!
俺はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ
そして黙って大人しくしてるつもりはない!

ハミルトン、マリガン、ローレンス、ラファイエット:
このチャンスをふいにする気はない!
一発やってみるんだ!
俺達はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ
そして黙って大人しくしてるつもりはない!

ラファイエット:
俺が夢見るのは君主政治のない世界
不穏が続くフランスはこのままではムシュツジョに
ん? ムシュツジョ? 何て発音するんだ、ああ ムチツジョか!
俺が戦に出れば 敵側はてんてこまいさ
俺の──

ハミルトン、ローレンス、ラファイエット、マリガン:
一発で!

マリガン:
俺は仕立て屋の見習い
そのうえお前らバカ野郎どものお世話になってるときた
そりゃズボンを縫うより 革命運動に参加するほうが
よっぽど社会的 成功を掴める──

ハミルトン、ローレンス、ラファイエット、マリガン:
チャンス!

ローレンス:
でも俺たちが真実 自由になったと言えるのは
あの奴隷たちが俺らと同じく人権を得た時だ
死ぬ気で一戦交えてやる
見てろよ 史上初の黒人部隊とともに
俺が出撃するまで
待ちがてら飲んでな もう──

ハミルトン、ローレンス、ラファイエット、マリガン:
1ショット!

バー:
天才どのら、少し声を抑えたらどうだ
荒事を避けておいたほうが 出来ることは増えるんだぞ
私だって君たちとは同意見だよ でも事はデリケートだ
君たちにはよく言い聞かせておく必要があるな
あんまりしゃべり過ぎると 撃ち殺されるぞ!

ハミルトン:
なあバー、見てくれよ
そこのラファイエット君 ランセロットみたいにロックな奴だ
そのズボン最高にいかしてるよね
ローレンス、俺 君のことすごい好きだよ
紅茶ナベやヤカンよりも真っ黒いプロットを書き上げてやろうぜ
神が俺たちをひとところに集めるなんて 奇跡みたいだ
一般通念に物申す 奴隷制度廃止革命運動家が集ってるだって?
最高だね そこに俺も加えて 一緒に戦わせてくれ!

ああ、うるさく喋り過ぎたかな?
たまに興奮して 何でもかんでも口走っちゃうんだ
今まで仲間なんていたことがなかった
でも 必ず皆の力になってみせるって誓うよ

ローレンス:
なあ こいつを先頭に立たせよう

ハミルトン、ローレンス、ラファイエット、マリガン、アンサンブル:
このチャンスをふいにする気はない!
一発やってみるんだ!
俺達はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ
そして黙って大人しくしてるつもりはない!

ローレンス:
立ち上がれ
這いつくばっているなら 立ち上がる時だ
男たちに伝えろ 立ち上がれと
女たちに伝えろ 立ち上がれと

いつになったら植民地は立ち上がるんだ?

ハミルトン:
これまで幾度となく死の瞬間を想像してきた 今では記憶のようにすら思える
それはいつ訪れるだろう?
寝てるあいだ? もうすぐそこに迫っている?
その訪れを知ったら 俺は逃げ出すか 身を任せるのか?
それは旋律のないビートみたいな感じだろうか?
だって俺は 自分が20歳まで生きられると思ってなかった
俺の故郷では その半分だって生きられない者もいた
なんでそんな生き急いでるのかなんて訊かれたら
笑って酒を注ぐだけさ
今この瞬間をやりきるために それで充分なんだ

いや 違う
これは一瞬なんかで終わらない 運動なんだから
世界に何かを示したいという
ハングリー精神ある男たちの行き着いた先さ
敵と対立しようと 心に忠実にあるんだ
モーゼのように 約束の地へ向かい進め
それで? 独立を勝ち取ったら?
俺たちの子孫の自由は保障されるのか?
それともここで流した血は
延々と終わりない 復讐と死の連鎖を生み出すだけなのか?
街中での活動ももちろん興奮するが
そうした争いや 流血の間にも
俺は読書と執筆を続けてきた
我々はこの財政状況をどうにかしなくちゃならない
俺たちは州の連合なのか? この国は一体どういう状態なんだ?
もう辛抱強く待っていられる状況じゃない
偏見なんて全力で打ち砕いてやる
全ての行動は まさに創造なんだ!
哀しみも傷の痛みも 笑い飛ばしてやる
うまれて初めて 明日より先のことを考えて生きてるんだ

そしてこのチャンスをふいにする気はない!
一発やってみるんだ!
俺達はこの国とおんなじ
まだ若く未熟でハングリーだ
そして黙って大人しくしてるつもりはない!

ハミルトン、ローレンス、ラファイエット、マリガン:
立ち上がるんだ! いざ挑むべき時がきた!
立ち上がるんだ! 今がその機会だ!
立ち上がるんだ! 一発やってやるんだ!

このチャンスをふいにする気はない!

Hamilton - Aaron Burr, Sir

1776年 ニューヨーク

ハミルトン:
失礼、あなた
アーロン・バーさんでは?

バー:
用件次第では答えるが
あなたは?

ハミルトン:
ああ、そうでした
アレクサンダー・ハミルトンと申します
あなたを探していたんです

バー:
えっと どういうことだろう

ハミルトン:
じつは
プリンストンであなたの名前をお聞きしました
早期卒業のコースを取りたいと思っていたんですが
ちょっとまあ あなたのお友達の一人に腹を立てて
その 殴ってしまったような
あんまり覚えてないんですが
財務をやってる方だったかな?

バー:
会計係を殴ったのか

ハミルトン:
そうなんです!
僕 あなたと同じことをしたくて
2年で修了して、革命に加わりたいと思ってるんです
そしたらアイツ、バカにしたように人を見てきて
僕、決してバカじゃないんですよ
それで どうやったんです?
どうして早期卒業されたんですか?

バー:
私の亡き両親の 最期の望みだったからね

ハミルトン:
あなた、孤児なんですね そうか!
僕もそうなんです
ああ 戦争が始まってくれるといいのに
そうすれば出自なんか関係なく
僕らの真価を世界に示してやれるんだ…

バー:
ねえ 君に一杯おごらせてくれるかな?

ハミルトン:
それは ありがたいです

バー:
話のついでに 君に私からちょっとしたアドバイスだ
口数は減らして

ハミルトン:
なんですって?

バー:
もっと微笑みなさい

ハミルトン:
はぁ

バー:
自分の支持や反対するものを
周囲には悟らせないほうがいい

ハミルトン:
本気で言ってるわけじゃないでしょう

バー:
出世したいんだろう?

ハミルトン:
ええ

バー:
口ばかり滑らせる愚か者は いずれ命で支払うはめになる


ローレンス:
ヘイヘイヘイ! いま何時だっけ?

ローレンス、ラファイエット、マリガン:
ショータイム!

バー:
…ほら見てみろ…

ローレンス:
ショータイム! そん時だぜ!
俺様 ジョン・ローレンスのご登場!
ビール三杯目に取り掛かかるとこ!
赤服のイギリス野郎ども!
ぶっ潰し 勝ち取ってやるぜ解放!

ラファイエット:
Oui oui 友よ 私はラファイエット!
革命におけるランセロット!
はるばる越えてきたともさ遠路!
王に伝えとけよ「消えろ!」と
誰がナンバーワンかって? C'est moi!(俺だろ!)

マリガン:
バララ!バラララ! 俺はヘラクレス・マリガン
「誰だって?」とさお前の母ちゃん
お馬さんもお嬢さんも 隠しといたほうがいいぜ
とはいえ 4人も相手にヤるのは楽じゃねえ

ラファイエット、ローレンス:
ヒュー

ローレンス:
もうセックスは十分 ビールをもひとつくれよ
あと二杯ほど乾杯を

ローレンス、ラファイエット、マリガン:
いざ革命に!

ローレンス:
おっと これはこれは プリンストン大学の神童様じゃねえか

マリガン:
アーロン・バー!

ローレンス:
あんたもひとつ歌ってみな 有難いお言葉をくれよ

バー:
遠慮しとくよ ご立派な意思表明だが
喋るのは自由だ 僕は結構

ラファイエット、マリガン:
つまんねえ奴!

ローレンス:
バーよ、いまや革命は必至だろ 何を二の脚踏んでる?

ハミルトン:
バー、そんなふうに信念なくして 君は何のために生きるんだ?

マリガン、ラファイエット、ローレンス:
お?
誰?
誰だ?
誰だよ?

何だこいつは? 何するつもりだ?

Hamilton - Alexander Hamilton

バー:
誰も知らない辺鄙なカリブの島で
淫女とスコットランド人の間に生まれ
貧しく汚い暮らしをしてきた 私生児の孤児、
そんな男が一体どうして学者や英雄になれたのか?

ローレンス:
10ドル紙幣に刷られた アメリカ合衆国建国の父
父親を持たず 並々ならぬ努力で上り詰めた
ずば抜けた知性と
行動力をもって
14歳にして貿易会社の管理を任されるほどに

ジェファーソン:
海の向こうでは奴隷たちが日々
殺戮され 連れ去られていた頃
彼は懸命な努力を怠らず
胸中ではつねに
何かの力となることを望んでいた
盗み 物乞い 借り 差し出そうという
覚悟を持っていた

マディソン:
そして ハリケーンが襲い
あたりには惨状が残された
ポタポタと落ちる 水滴とともに
未来が流れ去るのを見ながら
彼はエンピツをこめかみにあて
頭とつなげて
最初のリフレインを書き上げた
その苦しみの告白を

バー:
評判は広まり 人々は言う
「こいつは天才だ」
本土へ彼を送り出すために
援助金を集めて
「しかるべき教育を受けるんだ
自分の故郷を忘れずにな
いつか世界にその名を知らしめるだろう
お前の名は?」

ハミルトン:
アレクサンダー・ハミルトン
私の名はアレクサンダー・ハミルトン
今はまだ何も 成し遂げていなくとも
見ていろ 今にやって見せる…

イライザ:
10歳のとき 彼の父は
借金を抱えて 母のもとを去った
その2年後 アレックスと母は
病に倒れ
吐瀉物にまみれて
死の淵をさまよう

全員:
そしてアレックスは回復したが
母はあっけなく逝った

ワシントン:
従兄弟とともに住むも
その従兄弟は自殺してしまう
残されたのは傷ついたプライドと
心のうちにある新たな声

全員:
アレックス、自力で何とかするしかないんだ

ワシントン:
彼は家に籠って 読み漁るようになる
本棚に並ぶ 全ての文献を

バー:
これだけ明敏な男でなければ
出来ることなどなかったろう
とっくに死ぬか 貧窮してたはずだ
びた一文の金も残されず
彼は亡き母の地主のために
店子として働くようになり
自分では買えもしない
サトウキビやラム酒の貿易を行いながら
手の届くかぎりの本を求めた
将来への計画を練り
そして今 彼は船首に立ち
新たな地へと向かっている
ニューヨークで
新たな人生を歩むのだ

全員:
ニューヨークで新たな人生を

ハミルトン:
今に見ていろ

全員:
ニューヨークで新たな人生を

ハミルトン:
今に見ていろ

全員:
ニューヨークで新たな人生を
ニューヨークで…

ハミルトン:
今に見ていろ!

全員:
アレクサンダー・ハミルトン
私たちは舞台の袖でその登場を待つ
あなたは一度として退かず
ただ時間に追われるように生きた
ああ アレクサンダー・ハミルトン
アメリカがあなたのために歌うとき
あなたがどれだけのものを乗り越えてきたか
知ることはあるだろうか?
あなたが勝負をひっくり返してみせたことを
その手で世界は永遠に変えられたのだ

バー:
船が港についた
あの男が見えるか
新たな移民が一人
どん底から這い上がろうとしている
政敵たちは彼の評判を貶め
アメリカは彼の存在を忘れた

マリガン/マディソン、ラファイエット/ジェファーソン:
俺は彼とともに戦った

ローレンス/フィリップ:
僕は彼のために死んだ

ワシントン:
私は彼を信頼した

イライザ、アンジェリカ、ペギー/マリア:
私は彼を愛した

バー:
俺か?
俺こそがあいつを撃ち殺した間抜け野郎さ

全員:
今はまだ何も 成し遂げていなくとも
今に見ていて!

バー:
お前の名は?

全員:
アレクサンダー・ハミルトン!

Hamilton あらすじ


Act 1

1. Alexander Hamilton
アレクサンダー・ハミルトンを殺した張本人アーロン・バーをはじめとする様々な人々の口から、ハミルトンの生い立ちが語られる。
カリブ地方の島で私生児としてうまれ、後に母親も病で亡くし孤児となったハミルトンは、苦しい生活のなかでも勉学に励み才覚を現し、ニューヨークの大学で行政学・政治学を学ぶ機会を得た。

2. Aaron Burr, Sir
1776年のニューヨークで、ハミルトンはアーロン・バーに出会う。学業を早期に終えて独立革命運動に加わりたいと考えるハミルトンは、プリンストンの大学で早期卒業したというバーに助言を求めるが、「自分の本意をまわりにあまり悟らせないほうがいい」というバーの哲学は、ハミルトンには相容れないものだった。

3. My Shot
酒場でハミルトンは、後に独立戦争で共闘する男たち(ラファイエット、ヘラクレス・マリガン、ジョン・ローレンス)と意気投合する。英国から植民地支配を受けるアメリカでは独立革命の気運が高まりつつある。ハミルトンは今こそがその時であると声をあげ、弁論の才能を発揮して仲間たちの支持を得る。

4. The Story of Tonight
信じるもののためならば命をかけてもいい、と男たちは革命運動への意気込みを語り合う。

5. The Schuyler Sisters
農園を営む富豪、フィリップ・スカイラーの三人の娘たち、アンジェリカ、イライザ、ペギーが街へと繰り出す。

6. Farmer Refuted
「アメリカは植民地政府に従うべきである」と語る王国忠誠派の言葉に、ハミルトンは反論。独立革命を強く主張する。

7. You’ll Be Back
英国王ジョージ三世が「アメリカ植民地の離反を阻むためなら戦争も辞さないつもりである」とアメリカの民に語りかける。

8. Right Hand Man
いよいよ独立戦争が始まった。従軍し、軍人として優れた才能を発揮していたハミルトンを、総司令官ジョージ・ワシントンは自らの副官に任命する。

9. A Winter’s Ball
フィリップ・スカイラーの主催する舞踏会で、ハミルトンはスカイラー家の娘達と出会う。

10. Helpless
姉のアンジェリカからハミルトンを紹介されたイライザ。二人はすぐに惹かれあっていく。

11. Satisfied
妹のイライザとハミルトンの結婚を祝福するアンジェリカ。ハミルトンに自分と似たものを感じていた彼女もじつは彼に好意を抱いていたが、イライザの気持ちを察して妹と引き合わせたのだった。彼女は生涯にわたり、夫妻のよき理解者であり続ける。

12. The Story of Tonight (Reprise)
ハミルトンの結婚を祝福しにアーロン・バーもやってきた。
バーに良い相手はいるのかと訊くと、愛する相手はいるが、それは英国軍人の妻との不義の恋であるため結ばれることを諦めているという。ハミルトンは、恐れず愛のために行動すべきだとバーを激励する。

13. Wait for It
バーはあくまで、天の成り行きに任せ、好機が訪れるまでは静かに待つつもりだと語る。

14. Stay Alive
激化する独立戦争。自分に前線での指揮権をというハミルトンの主張を無視する形で、ワシントンはチャールズ・リーを将軍に据える。結果、モンマスの戦いにおいてチャールズ・リーは自軍を混乱に陥れる失態を犯し、指揮はラファイエットに任されることになった。これに不満を抱いたリーは、ワシントンの悪評をたてて名誉を傷つける。相手にするなとワシントンに厳命され怒りを飲みこむハミルトンにかわって、ジョン・ローレンスがリーに決闘を挑むと申し出た。

15. Ten Duel Commandments
ハミルトンとバーの立会のもと、拳銃での決闘を行い、ローレンスはリーに勝利する。

16. Meet Me Inside
決闘が行われた事でワシントンの怒りを買い、ハミルトンは妻のもとへ帰還するよう命じられる。

17. That Would Be Enough
イライザのもとへ帰ったハミルトンは、彼女が第一子を妊娠していることを知らされ、ワシントンがハミルトンを前線に出すまいとしていたのもそのためだったと気づく。夫が国のために使命を担って戦っていることを理解するイライザは、ハミルトンにただ、生きて戻ってきてさえくれればいいのだと告げる。

18. Guns and Ships
ラファイエットの活躍によりフランス軍の協力も得て、植民地軍の旗色は優勢になっていく。しかし決定打のためには、イギリス海軍をヨークタウンで討つ必要があった。そのためにハミルトンの力が必要だと判断したワシントンは、ハミルトンを戦場に呼び戻す。

19. History Has Its Eyes On You
ワシントンは自分が初めて指揮した時の失敗をふり返り、歴史上で後世の人々にどう記憶されていくかを、自分の望みどおりに決められる人間などいないのだと語る。

20. Yorktown (The World Turned Upside Down)
激闘のすえ、植民地軍は独立戦争に勝利する。

21. What Comes Next
戦争に敗れた英国王ジョージ三世は、あとで後悔しても遅いのだ、と負け惜しみをこぼす。

22. Dear Theodosia
独立革命から間もなくして、ハミルトンには息子のフィリップが、バーには娘のテオドシアが生まれる。二人はわが子への思いと、その未来のために全てをささげる決意を語る。

(サントラ未収録)
ハミルトンは、親友のジョン・ローレンスがサウスカロライナで戦死したことを報される。
ヨークタウンの戦いでアメリカの勝利が決まった後、退却していく英国軍からの銃撃を受けてのことだった。

23. Non-Stop
戦争の終結後、ハミルトンとバーはどちらもニューヨークへ戻り、学業を修了して法曹界で活躍するようになる。
1787年の夏、ハミルトンはフィラデルフィア憲法制定会議の代議員に選ばれた。
ハミルトンはアメリカ合衆国憲法の批准を推進するために連作論文を執筆することを考え、バーに協力を求めるも断られる。その後、ジェームズ・マディソンとジョン・ジェイの協力を得た彼は、全85編の論文のうち51編もを自ら執筆し、「ザ・フェデラリスト」を刊行する。
初代大統領となったジョージ・ワシントンは、ハミルトンに財務長官の座についてくれるよう頼む。
引き止めようとするイライザの声もむなしく、ハミルトンは休む間もなく、いまだに課題が山積みであるアメリカ合衆国の政治に携わっていくことを決める。
アンジェリカは夫とともにロンドンで暮らすことになった。



Act 2

24. What’d I Miss?
1789年、長らくフランスに大使として駐在していたトーマス・ジェファーソンが、アメリカへと帰ってきた。ワシントン大統領の要望で、彼は国務長官として迎えられる。
そんな中、ハミルトンが推進しようとする経済政策に危機感を抱くジェームズ・マディソンが、それを阻止するようにとジェファーソンへ協力を仰ぐ。

25. Cabinet Battle #1
閣議の場で、ジェファーソンはハミルトンの経済政策に真っ向から反対して彼と火花を散らす。ワシントンはハミルトンを呼びだし、議会の賛同を得るための妥協点を模索するようにと命じる。

26. Take A Break
自宅に帰っても仕事にかかりきりの夫に対し、イライザは息子のフィリップが9歳の誕生日を迎えたことを教える。フィリップは自作の詩を披露して父を喜ばせた。
議会の賛同を得られず悩むハミルトンは、英国で暮らすアンジェリカに助言を求める。彼女の返事は「まずはジェファーソンを納得させるべき」というものだった。
そのアンジェリカが、夏の休暇を過ごすためにアメリカへ来るという。ともにスカイラー邸で休暇を過ごそうと誘うアンジェリカとイライザだが、大きな課題に頭を悩ませるハミルトンは、仕事があるからと断り一人でニューヨークにとどまる。

27. Say No to This
家族の不在中、ハミルトンはマリア・レイノルズという女性に誘惑され関係を持ってしまう。しかも彼女は既婚者で、その夫は不倫を容認するかわりに金銭を要求してきた。脅迫に屈し、ハミルトンは彼女との関係を続けてしまう。

28. The Room Where It Happens
ハミルトンはジェファーソンとマディソンとのプライベートの食事会で話し合いの末、経済政策について合意に至る(1790年妥協)。ハミルトンの政治への影響力の大きさに、バーは嫉妬する。

29. Schuyler Defeated
所属政党を変えたバーは、ハミルトンの義父であるフィリップ・スカイラーと争い勝利する形で上院議員となる。この一件によって、ハミルトンとバーの関係には大きな亀裂が入った。

30. Cabinet Battle #2
閣議で、ジェファーソンとハミルトンは「英国と戦うフランスにアメリカは助勢すべきか否か」で再び意見がぶつかり合う。ワシントン大統領は最終的にハミルトンの意見を採り「あくまで中立の立場」を保つこととした。

31. Washington On Your Side
ワシントンの強力な後ろ盾を持つハミルトンに対し、バー、ジェファーソン、マディソンは、なんとか彼に打撃を与える方法はないかと画策する。またトーマス・ジェファーソンは、今の立場では何も変えられないと、国務長官を退くことを決める。

32. One Last Time
ハミルトンは、ジェファーソンが大統領選に立候補するために国務長官を退任したとワシントンから知らされる。また、ワシントン自身は大統領続投の意思はないという。引き止めようとするハミルトンだったが、ワシントンの意思はかたく、二人はともに彼の辞任挨拶を考える。

33. I Know Him
英国では、ジョージ三世がワシントン引退の報を受ける。二代目の大統領はジョン・アダムズに決まったと知り、波乱の予感に嬉しげである。

34. The Adams Administration
アダムズ大統領とハミルトンは真っ向からぶつかりあい、連邦党はめちゃめちゃになる。

35. We Know
バー、ジェファーソン、マディソンはハミルトンを失墜させるスキャンダルをとうとう掴んだと確信する。彼が政治資金を横領していると嫌疑をかける3人だったが、ハミルトンははっきりと身の潔白を主張し、その証拠もすべて示せるという。絶対に口外しないという条件で明らかにしたのは、かつてレイノルズとの不倫の際に金を強請られた事実だった。ことの経緯をすべて明かし、倫理的に恥ずべきことではあれど、法に触れることは一切していないと告げるハミルトンに、3人は驚きながらも納得する。

36. Hurricane
レイノルズの件を知られてしまったことでハミルトンは不安が拭えない。彼は過去、すべてを包み隠さず正直に書き記すことで何度も救われてきたと思い返す。

37. The Reynolds Pamphlet
ハミルトンはレイノルズの不倫事件についての詳細を記した、95ページに渡るパンフレットを自ら作成・公表するにいたる。白日にさらされたこのスキャンダルは彼自身の評判をおおいに貶めるものとなった。

38. Burn
夫の裏切りを知ったイライザは、泣きながら保管していた手紙を燃やす。これは、全ての記録を残すことで後世の歴史学者達によって名誉が挽回されることを願うハミルトンの意思に反する行為でもあった。イライザは、後世に語り継がれる「物語」の中から自身の存在を消し、自分の想いは自分だけの知るものとして秘めるつもりだと語る。

39. Blow Us All Away
ハミルトンの長男のフィリップは、父を侮辱する発言をしたジョージ・イーカーという男に決闘を挑む。
それを知ったハミルトンは、「他人を傷つけるような行為は自身の名誉を傷つけるものだ」とたしなめ、決闘では銃を空に向けて撃つよう息子に教える。相手が紳士であれば、争いを放棄する意思を尊重して平和的和解に至るはずだと考えたからだ。
決闘の場は、ニューヨークからハドソン川を挟んだ向かい、当時まだ決闘が合法であったニュージャージー。フィリップは敬愛する父の教えを忠実に守るが…

40. Stay Alive (Reprise)
相手の発砲した弾にフィリップは倒れてしまう。ハミルトンとイライザの願いもむなしく、父の教えをちゃんと守ったと言い残し、フィリップは19歳の短すぎる生涯を終える。

41. It’s Quiet Uptown
愛する息子を喪った悲しみにハミルトン夫妻は深く傷つく。レイノルズ事件に追い討ちをかけるような悲劇に、夫婦の間はもはや修復不可能であるかのようにも思われた。しかし、はかり知れない悲しみを乗り越えて、二人は徐々に絆を取り戻す。

42. The Election of 1800
次の大統領選に立候補したのは、トーマス・ジェファーソンとアーロン・バー。親仏家でいささか過激だという印象でとらえられがちなジェファーソンに対して、バーは温厚そうで評判もいい。バーが優勢であるかのように思われたが、果たしてどちらを支持するのかと注目されたハミルトンは、ジェファーソンを推し、バーには信念がないとこき下ろした。
結果、バーは敗北し、ジェファーソンが次期大統領に決まる。

43. Your Obedient Servant
大統領選でのハミルトンによる猛烈なネガティヴキャンペーンはバーの恨みを買うが、ハミルトンは「ひとつも間違ったことは言っていない」と謝罪を拒む。長年の確執の末、とうとうバーはハミルトンに決闘を申し込んだ。

44. Best of Wives and Best of Women
決闘の朝。夜明け前から起き出した夫を、イライザはベッドに呼び戻そうとする。ほんのすこし外出するだけ、と決闘のことを隠すハミルトンは、自分はこの世で最も素晴らしい女性、そして伴侶に恵まれたと彼女に告げる。

45. The World Was Wide Enough
長きにわたる確執に決着をつける時がきた。決闘の場は皮肉にも、ハミルトンの息子フィリップが命を落としたのと同じニュージャージーの岩棚だった。
ハミルトンが普段はかけないメガネをしてきたことで、相手の殺意を確信したバーは、「愛する娘のためにも絶対に死ぬわけにはいかない」と決意をかたくする。
いざカウントダウンが終わった時、しかし、ハミルトンは銃を空に向けていた。そしてバーの放った弾丸に、ハミルトンもまた息子と同じ運命をたどる。
仇敵を自らの手で殺めたバーは、すべてを振り返ってみれば、いったい何を争う必要があったのだろうと、自分の犯した過ちを悔いる。

46. Who Lives, Who Dies, Who Tells Your Story
アレクサンダー・ハミルトンの残した功績はあまりにも偉大であったと、彼を失った世界は気づく。
「アメリカ合衆国建国の父」の多くが長い生涯をまっとうし、様々な逸話として語り継がれるなか、ハミルトンの生涯は短く、しかし成し遂げたことは語り尽くせないほどに多かった。
愛する夫を喪った後、イライザは彼のやり残した仕事を肩代わりするかのように、様々な活動に携わり、またハミルトンの記憶が後世まできちんと残るよう、彼の遺した書面や記録の整理にも尽力した。長い生涯をまっとうして再び会ったとき、自分は充分にやり遂げたのか、自分たちの歴史は後世に語り継がれるだろうかと、彼女は夫に語りかける。