2015年1月30日金曜日

Matilda the Musical - I'm Here


夜になると、縄抜け師の娘は部屋でひとり涙を流しながら眠りにつきました。
父親の縄抜け師はいじわるな叔母の悪事など知るすべもなく、
そして少女もまた、父親を苦しめることを恐れて何も言おうとしなかったのです。
でもそれはただ、叔母のいじめをエスカレートさせるだけでした。
そしてある日、とうとう叔母は理不尽な怒りを爆発させました。

「お前は薄汚れた、役立たずの、ろくでなしだよ!」

そう言って少女に手をあげると、いじわるな叔母は彼女を真っ暗で埃だらけの地下室へ押し込み、
扉に鍵をかけて出て行ってしまいました。
けれどその日、縄抜け師はいつもより早く家に帰りつきました。
そして娘の泣き声を聞いた彼は、扉を叩き破ったのです!

泣かないで!
娘よ 私はここにいるよ
どうか泣かないで さあ涙をぬぐっておくれ
愛しい娘よ
どうか許してほしい お前を見捨てるつもりなどなかったんだ
愛しい子よ 泣かないで
もう誰にもお前を傷つけさせたりはしない
何も恐れなくていいんだ
父さんがここにいる

ああ、私は妻を失った悲しみにばかりとらわれ
一番大切なものを蔑ろにしてしまうところだった
我が娘よ、私は何よりもお前を愛しているよ
お前に辛い思いをさせたことは、生涯をかけて償っていこう
これからはずっと、お前のそばにいるから


泣かないで パパ
私は大丈夫だから
ねえ どうか泣かないで 涙をふいてあげるわ
(許してほしい)
パパ ごめんなさい
(お前を見捨てるつもりなどなかった)
そんなふうに悲しませたくなかったの
(泣かないで)
ねえ どうか泣かないで
私ならもう大丈夫 パパが一緒にいてくれるのだから
何も怖いものなんてない
(父さんがここにいる)
あなたがそばにいるから

しかしその夜 少女が眠りについたあと、縄抜け師は妻の妹のことを思い出しました。
そして とてつもない怒りが彼の胸に湧き上がったのです。

あの悪魔! 悪党の人でなしは!
私の妻の思い出を傷つけたのだ!
じつの姉の信頼を裏切ったばかりか
私たち夫婦にとって何よりも大切な存在に ひどい仕打ちをした!
か弱い子供をいじめるのが楽しいとでもいうのか?
ならば怒り狂う大人を前にして あの人でなしがどう出るつもりか
せいぜい見せてもらおうじゃないか!

……けれど、少女が父親を見たのは、その日が最後となりました。
彼はそれから二度と、
家に帰ることはなかったのです。

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