ケイディ:
私は独りの時間が多かったわ
いろんなものを観察してた
ハイエナとか動物の群れの移動とか
そんなのどうでもいいわよね?
今は沢山の友達がいるし
独りぼっちのことなんてない
だって、一階にいる沢山のひと見たでしょ
アーロン:
そうだね
ケイディ:
なんだって多いほうがいいでしょ
沢山のひとが私のことを知ってる
持ってる靴も増えたわ
なんでも多いほうがいい
だってちょっとしか持ってなかったら
失くすものが大きい
まって、それだとちょっとややこしいかな
アーロン:
でもさ、僕は独りも気にしないよ
ひとりって時にはいいものさ
だってじっくり考える時間って
なかなか手に入らないものだろ
ケイディ:
本当の独りを味わったことないのよ
ケニヤで電話以外は身一つを経験してみて
他の人なんていないに等しいの
野生動物たちと 空だけ
でも なにが沢山あったかわかる?
星よ
夜には無数の星が輝いて
でもここでは夜もすごく明るいから
あんまり星は見えなくなっちゃった
それに いつもエアコンが効いててちょっと寒いの
まあ正直それは 私の服装のせいかもしれないけど
いいじゃん このほうが可愛いし
うまくいったもの 個人指導が必要なフリしたみたいに
アーロン:
フリ?
ケイディ:
そうなの、私あなたと話したくて数学が苦手なフリしちゃった
アーロン:
普通に話しかけてくれたらよかったのに
ケイディ:
だってレジーナがいたし、あなた彼女のものだから…
アーロン:
もの、だって?
ケイディ:
違う、お黙り、そういうんじゃ…
アーロン:
黙れってなんだよ
君ってまるで、レジーナのクローンみたいだ
ケイディ:
ちがう!
私はあんな子よりもっといい人間よ
私以上にあなたを好きな人なんていない
誰にも ましてや彼女なんかに劣らない
なんでも多いほうがいいでしょ
私をそんな目で見ないで
あなたはどんな女の子がいいっていうの?
アーロン:
僕はかつての君のほうがいい
いま無理になろうとしてる誰かじゃなく
そんなのを僕が喜ぶと思ったの?
君は間違ってる
この部屋を見てると
君はまるで周囲に馴染むためだけに
自分のいちばん素敵なところを消そうとしてるみたいだ
君はなんでも多いほうがいいって言うけど
本来の君はすり減らされてしまったんじゃないかな
だから なんでも多いほうがいいのなら
君はもっと 考えるべきだったんだよ
ケイディ:
考えるべきだった…
なにが沢山あったかわかる?
星よ
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